2020 Fiscal Year Research-status Report
過去の速記原本を可読化するための日本語速記史の研究
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20K20698
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡島 昭浩 大阪大学, 文学研究科, 教授 (50194345)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 速記 / 速記符号 / 速記文字 / 反訳 / 整文 / 速記方式 / 速記術 |
Outline of Annual Research Achievements |
速記術に直接関わる書籍のほかに、速記者の名簿類や回顧録等の文献も積極的に収集し、目次等の情報をデータベースに入力して、速記に関わる情報が広く集められるようになることを目指している。書誌的情報や、目次情報以外に、何を入力しておくべきかについても、検討しながら、入力を進めている。 速記符号の、弁別的特徴についての分析も始めた。長短、角度、曲直、末画への付加、初画への付加、中央部への付加、付加の形態、交差、と行った形態上の観点と、母音と子音(あるいは、ア行音と非ア行音)、清音と濁音・半濁音、アヤワ行、直音と拗音、撥音・促音・長音、といった音声音韻上の観点が、どのように結び附けられているか、という点に於いてである。解読を目指す研究としては、形態の分析に重点をおくべきであるが、音声音韻との関わりなしに分析することが困難であることは当然のことではあるが、明確化した。 研究協力者とは共同研究的なことは行いにくい状況であるが、それぞれに研究を推進しており、日本語速記法の成立と類型に関する考察、速記が写すのは音ではなく語であるという考察、明治期速記における略字が複数の語形を表す場合についての考察、英語の速記を日本語の速記に移植する際に問題となった母音単独(ア行)の表記法についての考察、速記関連文献目録、関西学院大学速記研究会の歴史等についての報告が寄せられるなどし、協力者間で議論等を行っている。 本年度の成果については、論集・資料集の編集を行い、次年度の早いうちに印刷して送付すべく、準備しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍のため、移動しての調査・打ち合わせが困難である、という事情がある。 スタート時に、全国にいる速記者たちの中で、本研究に関わりそうな人々と一堂に会して、情報収集を行うことは、オンライン会議に代替して或る程度は行うことが出来たが、不十分であった。 また、東京にある日本速記協会に蔵されている資料を調査したり、同協会の人から聞き取り調査をしたいと考えていたが、これも出来ていない。国会図書館等に蔵される資料についても同様である。
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Strategy for Future Research Activity |
日本速記協会や図書館などを訪問して調査したり、速記者などに実際に会って聞き取りを行ったりすることは、しばらく出来そうにないので、オンラインの古書店等で資料を購入して調査したり、図書館等から複写を取り寄せるなどをして、調査・研究を続けて行きたい。なお、オンラインの利用を進めて行きたい。また、印刷中の論集・資料集を配付する際に、関連の資料などを貸していただけないかという呼びかけを行うことにしているが、お貸し頂ける資料があれば、それらについて記録・調査・研究を進めて行くことになる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため、集まっての会議、訪問しての調査が不可能であったため、旅費を使わず、訪問調査を予定していた書物を購入することにしたが、全てを使うには到らなかった。 また、論集・資料集の印刷・送付を年度末に予定していたが、調整に手間取って次年度に回ることになり、その分が、おおむねの次年度使用額となった。
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Research Products
(2 results)