2021 Fiscal Year Research-status Report
MEMS力計測プラットフォームによる単一細胞機械的特性とがん疾病の関係性評価
Project/Area Number |
20KK0326
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
久米村 百子 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (50533642)
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Project Period (FY) |
2021 – 2023
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Keywords | MEMS / 単一細胞 / 機械特性計測 / 細胞マニピュレーション / 遺伝子発現解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、細胞の機械的な特徴(硬さや粘弾性、変形能など)と、がん疾病の関係を明らかにすることを目的とし、細胞の硬さとこれに関連すると予想される遺伝子の発現状態との関連性取得に取り組んでいる。MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)を利用することで、細胞の計測・マニピュレーションが可能であり、単一細胞レベルでの評価ができる。基課題は、MEMSを用いた単一細胞計測・マニピュレーションののち遺伝子発現解析を行い、相関データを取得している。対象とする細胞は、一般的に研究で利用しやすい培養細胞株である。本課題では、基課題で蓄積される技術やノウハウを土台とし、クリニカルサンプルを対象とした評価を行うことを目的としている。フランスのIRCLがん研究所とCOLがん医療センターの協力を得ることで本課題を達成することができる。実施項目は以下に示す3課題である。 課題1-(1) クリニカルサンプルの細胞機械特性計測と遺伝子発現量の相関評価, 課題1-(2) 腫瘍種類(部位)による機械特性傾向の導出, 課題2 がんバイオマーカー検出と機械特性検出の比較, 課題3 抗がん治療前後の細胞形態・機械特性の評価・計測 今年度は、コロナウイルス感染症拡大のために現地での研究は行っていない。IRCLがん研究所のタルハン准教授と遠隔会議ソフトウエアを用いた打ち合わせを複数回行い、基課題の進捗状況、基課題で得た技術をIRCLがん研究所で実施する計画、実験セットアップで必要な装置群の確認、クリニカルサンプルを利用できる時期等について、綿密な相談を行った。また、九州工業大学においてMEMSデバイスの作製・評価を行うと共に、改良を加えたデバイスの設計・開発を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の予定では、1月に渡航しIRCLがん研究所での研究を進めることを検討していたが、当時ヨーロッパにおいてコロナウイルス感染症が拡大した状況が続いた点、日本政府が求める再入国後の待機期間が1週間以上で、該当期間は公共交通機関が利用できない等の制限があり、帰国後の研究活動・大学業務に差し支えると予想されたため、現地での研究実施を断念した。一方で、基課題で実施している単一細胞の機械特性計測-遺伝子発現解析フローは、プロトコルの最適化が進み、IRCL研究所で行う予定の実験・研究を効率的に進められる土台を構築できたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画から変更せず、申請時に設定した課題1-3を実施する。ただし、当初は相手国に各年度2ヶ月間滞在し現地での研究を行う予定であったが、R4,R5年度に渡航期間を長く取り、現地での充分な研究期間を確保する。R4年度は、課題1,2を実施する予定である。 課題1-(1) クリニカルサンプルの細胞機械特性計測と遺伝子発現量の相関評価:複数のMEMSを用いて、クリニカルサンプルの機械特性計測と、それに引き続く遺伝子発現解析を行う。双方のデータを比較し、相関評価を行う。IRCLがん研究所、COLがん医療センターの研究者・スタッフと共に、結果として得られる力学特性とがんの関連性について議論する。 課題1-(2) 腫瘍種類(部位)による機械特性傾向の導出:上記の手法を用いて、がんの種類(部位)よって、機械特性がどのような違いや傾向を持つのか検証する。結果について、がん研究やがん医療について専門的な知識を有するフランス側研究員・スタッフとの議論を行う。 課題2 がんバイオマーカー検出と機械特性検出の比較:現在がん診断に利用されているバイオマーカーと、機械特性計測結果との関連性があるかどうかを見出す。具体的には、染色・フローサイトメトリーにより分離される特定のがん細胞を回収し、機械特性計測を実施し、相関データを求める。
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Research Products
(3 results)