2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21380083
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
加藤 範久 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 教授 (20144892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
矢中 規之 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 准教授 (70346526)
松原 主典 広島大学, 大学院・教育学研究科, 准教授 (90254565)
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Keywords | ビタミンB6 / 抗腫瘍作用 / HSP / オートファジー / 大腸 |
Research Abstract |
1)ビタミンB6の大腸癌抑制作用と遺伝子発現:ミトコンドリア機能が発がんと密接に関連することから、B6摂取により大腸のミトコンドリア関連遺伝子の発現をDNA microarrayで調べた。その結果、ミトコンドリア関連遺伝子の発現が上昇する因子と抑制される因子と両者とも多数見出され、ミトコンドリア機能との一定の関連性は見出されなかった。一方、B6摂取によるラット大腸の抗腫瘍の標的であるHSPのタンパク質発現やmRNA解析した。その結果、HSP群の中で、HSP70及びHSP32のタンパク質発現が特異的に減少することが示されたが、mRNA量とは無関係であった。 2)ビタミンB6のオートファジー抑制作用の解析:B6によるオートファジー抑制機構に関しては、AktやmTOR、ERK、JNKなどの因子の関与を調べた。その結果、Beclin1のタンパク質発現の抑制が関与していることを示した。さらに、B6のオートファジー抑制作用にCaチャネルが関与する可能性がCaチャネルの修飾因子を用いた実験により示唆された。 3)ビタミンB6摂取に応答する各組織ビタミンB6代謝物の解析:食餌へのB6(ピリドキシン)添加の各臓器のB6代謝物の変動について網羅的に解析した。その結果、B6摂取の増加により筋肉と心臓を除く多くの組織において、PLP濃度が増加したが、小腸と脂肪組織の増加が最も顕著であった。次に変動が顕著であったのは大腸、脾臓、肺、胃のPLPであり、その他の組織は変動が少なかった。さらに興味あることに、小腸と大腸のピリドキシンの濃度は、B6摂取に伴った非常に顕著に増加していた。このことは、消化管のPLP濃度の変動が大きいのは、直接消化管に餌のB6が取り込まれ、そこでPLPに変換されたことを示唆しており、食餌B6量の影響を受けやすい理由が説明できた。
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