2009 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト唾液腺分泌蛋白サリバチンの機能解析とインクレチン模倣薬としての可能性
Project/Area Number |
21592363
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
水澤 典子 The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80254746)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩田 武男 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10350399)
吉本 勝彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90201863)
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Keywords | 糖尿病 / 唾液 / 膵島 / インクレチン |
Research Abstract |
消化管ホルモンは総称して「インクレチン」と呼ばれ、その一種glucogon like peptide-1(GLP-1)は、高血糖時のみ膵β細胞に作用してインスリン分泌を促進する他、膵β細胞の保護作用や中枢に作用して食欲抑制効果などを示す。ヒト唾液腺から分泌されるサリバチンは、インクレチン様効果を示すことが報告されているが、作用機序は未だ不明である。GLP-1受容体アゴニストで糖尿病治療薬として注目されているExendin-4(Ex4)と合成サリバチンペプチド(サリバチン)で比較し、サリバチンの機能および臨床的意義とバイオマーカーとしての有用性について検討している。 1) マウス単離膵島を用いたインスリン分泌への影響は、Ex4・サリバチンともにインスリン分泌刺激の傾向が認められたが、グルコース濃度依存性が明確ではなかった。 2) GLP-1受容体を介した膵β細胞への作用機序を検討するため、cAMP応答性結合蛋白とcAMP応答性結合プロモーター領域の反応を利用したレポーター解析を行った。Ex4ではグルコース濃度に依存した転写活性の上昇が認められた一方で、サリバチンでは認められなかった。 3) 2型糖尿病モデルマウスへのサリバチン投与では、急性の血糖低下作用は認められなかったが、長期間連続投与により、グルコース負荷試験時の血糖値上昇の抑制傾向が認められた。 サリバチンのインクレチン様効果がEx4と同等であれば、糖尿病治療の新しい標的としてのインパクトは強いが、合成サリバチンペプチドを用いた1)-3)では明確にできていないため、少なくともグルコース依存的なインスリン分泌促進作用、および膵β細胞の保護作用等のインクレチン様効果の再現を含めた慎重な検討が今後も必要である。
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