2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21688020
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
若山 清香 独立行政法人理化学研究所, ゲノム・リプログラミング研究チーム, 研究員 (10525918)
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Keywords | 絶滅動物 / 体細胞核移植 |
Research Abstract |
絶滅動物の体は永久凍土、剥製、毛皮、ホルマリン保存した標本など過酷な悪条件下で見つかることが多い。永久凍土などで発見される試料は凍結だけでなく乾燥しダメージも大きい。しかし現時点ではどの体細胞がもっとも耐性があるのか、核移植へのDNA損傷の影響は全くわかっていない。そこで本年我々は、ホルマリン標本した体組織から核を採取し、クローン個体の作製を試みた。しかし、体細胞自体を一つ一つばらばらにするところまではできたのだが、体細胞自体がホルマリン変性を起こし、核移植用の核を採取するのが困難なため実験は失敗に終わった。次に、絶滅危惧種は直接個体を捕獲することは難しく、糞などからその生存などがあきらかにされることが多いことから、GFPマウスの糞から採取した腸内壁細胞を使用し、核移植を試みた。糞を採取し分離したところ、体細胞数は少ないもののGFPを発する細胞を採取することに成功した。さらにその細胞を用い核移植を試みた。核移植胚は前核を構成し、2細胞まで分裂するものがあったがそれ以上発生することはなかった。以上の2つの試みは失敗に終わったが、その他劣悪条件下で保存されている体細胞をさらに検討してみる必要があるであろう。 また、我々は今回新たに凍結死体の体細胞から染色体を取り出し、マウス卵子へ移植するという新技術を開発することで、最終的にマウスES細胞内で絶滅動物の染色体復活を目指す実験を試みた。まだ実験途中段階であるがマイクロマニピュレーターで単一染色体だけを取り出し卵子へ移植する。具体的には、染色体を認識する抗体を細胞に注入し、細胞骨格を薬剤で壊し紡錘体をバラバラにしたあと、マイクロマニピュレーターで単一染色体だけを取り出すのである。ハロゲンランプで蛍光ラベルした染色体を識別する新技術を用い、この実験は可能になった。しかし、非常に成功が低確率であることから、今後より安定した再現性を見出したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
絶滅動物を復活させるために解決しなければならない課題の中で細胞種の検討や凍結細胞の初期化の検討など行っていないものや、ホルマリン体細胞など失敗に終わったものもあるが、新たに、染色体を直接移植する方法などの検討により、絶滅種の染色体をそのまま復活することができる可能性が出てきた。以上のことにより自己評価は(2)にさせていただきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
凍結された体細胞核の初期化の検討、さらに、劣悪条件下での体細胞核移植を様々な方法で試みる。また、今年新たに開発した染色体の核移植法を改善し、異種染色体を含んだ核移植法を確立したい。これらの研究により、絶滅動物を復活させるために解決しなければならない課題を推進することができるであろう
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Research Products
(5 results)