2009 Fiscal Year Annual Research Report
新規高効率遺伝子導入法の開発とそれを用いたコオロギにおける体軸決定機構の解明
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21770237
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
三戸 太郎 The University of Tokushima, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (80322254)
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Keywords | 遺伝子導入 / 昆虫 / 体軸決定 |
Research Abstract |
ショゥジョウバエと大きく異なる様式で卵形成を行うコオロギにおける新規の極性決定機構解明を目的として,研究を行った.研究計画に従い,卵の極性に関わる遺伝子の候補についてクローニングおよびRNAiによる機能解析を行った.その中で,ショウジョウバエ卵でのmRNA局在に関与するstaufen遺伝子のホモログについて,機能阻害により胚の後部の形成が異常となる表現型を得た.まだ予察的な段階であり,さらに解析を進める必要があるが,コオロギでの体軸決定機構へのアプローチのための新たな手がかりが得られつつある.一方,ウイルスを使用しない,卵へのプラスミド注入による一般的な方法でのコオロギ形質転換技術の確立に成功した.作製したGFP発現系統を用い,まず,産卵後の初期の卵における位置情報の付与に関する知見を得るために,初期発生過程の細胞動態の解析を行った.このために共焦点顕微鏡を用いた卵のライブイメージングの系を確立した.この技術は今後卵巣小管を用いた卵形成過程のイメージングに応用できる.本解析の結果,胞胚形成過程および胚原基形成過程での非常にダイナミックな細胞移動が明らかとなった.さらに,トランスジェニックコオロギの初期発生過程にはショウジョウバエ同様シンシチウム胞胚の時期が存在することが明らかとなった.この時期にはショウジョウバエのように転写因子が拡散により濃度勾配を作り位置情報をもたらしている可能性が示唆される.位置情報をもたらす因子の候補として,これまでにコオロギで前後軸に沿ったパターン形成,特に頭部形成への関与を示す結果が得られているotd遺伝子についてRNAiとライブイメージング技術を組み合わせて詳細な解析を行った.本解析により,コオロギotd遺伝子が胚形成初期に細胞の位置情報の付与に関与していることを示唆する結果が得られた.今後形質転換技術の改良を進めるとともに,otdなどの遺伝子産物の卵での分布について解析を進め,卵の極性,体軸決定との関係を探求する予定である.
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Research Products
(5 results)