2009 Fiscal Year Annual Research Report
microRNAを介した遺伝子発生制御機構と大脳新皮質形成
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21770248
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
柴田 幹士 The Institute of Physical and Chemical Research, ボディプラン研究グループ, 研究員 (50391975)
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Keywords | microRNA-9 / 端脳 / Gsh2 / Brn2 / Meis2 / Islet1 / 細胞増殖 / TCA |
Research Abstract |
microRNAは、器官発生において、それに関わる様々な遺伝子を標的とし、その転写後の発現量を負に調節していることが知られている。microRNAの標的遺伝子の包括的な探索は、microRNAそれ自体の機能のみならず、器官発生そのもののメカニズムを知る上でも重要である。平成21年度では、マウス端脳におけるmicroRNA-9の標的遺伝子の包括的同定を計画していたが、このために我々はmicroRNA-9-2/3二重変異マウスと、野生型マウスのE12.5における端脳からmRNAを抽出し、DNAマイクロアレイ(Mouse Genome Array, Affymetrix)を用いmRNAの量の変化を検出した。その結果、二重変異マウス端脳において高い発現を示す標的遺伝子の候補として、転写因子であるGsh2, Brn2, Meis2, Islet1を同定した。これらのmRNA、タンパク質の発現を検証したところ、外套下部におけるGsh2, Brn2の発現領域は二重変異マウスにおいて著しく拡大していた。Gsh2, Brn2は、神経前駆細胞の維持に必須であることが知られているが、これに対応して、二重変異マウスの外套下部の未分化領域の細胞増殖が亢進し、神経分化が抑制されていた。一方、正中神経節隆起においてMeis2, Islet1を発現するスリット状の神経細胞の集団は特にcorridor(回廊)と呼ばれ、視床から皮質への神経軸索(thalamocortical axons ; TCA)投射形成に必須のガイダンスキューであるが、二重変異マウスにおいてはcorridorの形成が過剰となり、これに対応してTCA投射が形成されなくなることが見いだされた。これらのことからmicroRNA-9が外套下部において、様々な標的遺伝子の発現領域を規定することによって神経分化、神経軸索投射に必須の役割を果たしている事が明らかとなった。
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Research Products
(4 results)