2010 Fiscal Year Annual Research Report
免疫機能に有用な食品の探索を目的とした腸管上皮細胞株の樹立と機能解析
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21780090
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岩本 拓 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, リサーチフェロー (00401191)
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Keywords | 腸管上皮細胞 / 細胞分化 / 免疫学 / Toll様受容体 / サイトカイン / 小腸 / 大腸 / 食品 |
Research Abstract |
種々の微生物や食品成分に直接曝されている腸管上皮細胞(IEC)が、これらの因子に対してどのような免疫応答の機構を有しているかを分子レベルで解析することは、生体に有用または有害な菌体、食品成分を選別、解析する上で重要であると考えられる。本年度は、昨年度に引き続き『免疫機能に有用な食品の探索を目的とした腸管上皮細胞株の樹立と機能解析』の研究を行い、以下の結果を得た。 1)、小腸、大腸には免疫機能に違いがあることから、『胎仔の小腸、及び大腸の初代培養IECを用いた恒常的不死化IEC株』を樹立し、解析を行った。昨年度に示した微生物成分の認識に関与するToll様受容体(TLR)の発現パターンに加えて、サイトカイン発現についても小腸と大腸IEC株で大きな違いが見られることを示した。さらに、細胞株でのサイトカイン発現パターンは成体IECでの発現と異なっていたが、IFNγやTLRのリガンドを添加することにより、一部のサイトカインの発現は成体IECの発現に近づくことが分かった。従って、成体IECにおけるサイトカイン発現は非炎症時においても微生物成分やサイトカインにより制御されていることが示唆された。 2)、成体と胎仔IECの免疫機能の間にも違いがあることから、『成体由来の小腸、大腸IEC株』の樹立を行った。その結果、細胞株でのMHC Class II分子の発現は小腸と大腸のIECの差を反映していること、さらにTLRリガントに対する応答が、大腸IEC株よりも小腸IEC株で高いことを示した。 3)、上記のIEC株を用いることで、IECの免疫機能の制御に関与する食品成分を探索することが可能かを検討することを目的として、昨年度に引き続き、スフィンゴ脂質の代謝産物、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)がIECのサイトカイン産生に与える効果について検討した。その結果、S1PはTLRリガントにより誘導されるIL-6産生を増加させ、この増加にはS1P2受容体が関与すること、さらにIL-6の転写活性化に関与する情報伝達系を同定することに成功した。
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Research Products
(5 results)