2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
下川 淳 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (60431889)
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Keywords | 天然物全合成 / ラジカル反応 / トリプロスタチン |
Research Abstract |
平成21年度に引き続きトリプロスタチン類の合成研究を行った。平成21年度にはラジカル環化反応によるインドール環構築と引き続くStilleカップリングによる2,3二置換インドール骨格の構築に成功したことを報告した。その後、インドール環上窒素原子の保護に続き、アセトニドの除去とTEMPOを用いたアルコールからカルボン酸への酸化を経てトリプトファン骨格を構築した。プロリンメチルエステルとの縮合にはHATUを用いた方法が有効であり、これにより炭素骨格をすべて持ち合わせる中間体を合成することに成功した。この後、Boc基の除去と環化によるジケトピペラジン骨格の構築に際して種々の脱保護法を検討した結果、NMP中で230℃に加熱するのみで二つのBoc基の脱保護が進行し、引き続く環化反応が進行することでトリプロスタチンBの全合成が行えることを見出した。同様にして原料にメトキシ基を持つ基質から合成を行い、トリプロスタチンAの合成にも成功し、これらの結果を論文として報告した。これに加え、トリプロスタチン類の類縁体合成についても種々の検討を行った。具体的にはジケトピペラジン骨格を構築した後に不飽和結合を導入することについて検討を行い、原料にcis-3-ヒドロキシプロリンを用いた場合には脱水反応を経て不飽和プロリン骨格を合成できることを見出し、アミドの酸化法として松尾らによって報告されている方法を用いることによって不飽和トリプトファン構造を有する類縁体の合成にも成功した。
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