2010 Fiscal Year Annual Research Report
R-Rasファミリー低分子量G蛋白質の情報伝達機構の解析
Project/Area Number |
21790069
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
生沼 泉 京都大学, 生命科学研究科, 助教 (40452297)
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Keywords | R-Ras / H-Ras / TC21 / neuron / axon / dendrite |
Research Abstract |
低分子量G蛋白質、R-Rasファミリーは、R-Ras、TC21、M-Rasから成っており、これまでの申請者の研究により、内在性のR-Rasは軸索ガイダンスにおいて決定的な役割を果たしており、その活性調節がガイダンス因子の作用に必要であると考えられる。しかしながら、TC21やM-Rasに関しては、神経細胞におけるそれらの役割に関する報告はほとんどない。従って、我々はまず、TC21および、M-Rasの脳内における発現分布を、in situ hybridization法や、PCR法により検討した。その結果、TC21は生後後期に発現が増加し、シナプス形成期に発現量が高いことがわかった。また、M-Rasは生後に発現が増加し、樹状突起形成期に発現量が高いことがわかった。R-Ras、TC21、M-Rasは海馬の神経細胞に発現していたことから、海馬初代培養神経細胞を用いて、shRNAによるノックダウンにより、各々の機能を検討したところ、R-Rasのノックダウンにより軸索形成の阻害が、TC21のノックダウンにより、樹状突起のフィロポディア形成の阻害が、M-Rasのノックダウンにより、樹状突起の形成が阻害されることがわかり、R-Rasファミリーの各G蛋白質が神経細胞の形態形成において、異なったステージにおいて機能していることが明らかになった。また、神経細胞形態調節における各G蛋白質の下流のシグナル伝達経路についても検討した結果、R-Rasによる軸索の形態制御にはアクチン足場蛋白のAfadinが、M-Rasによる樹状突起の形成にはlamellipodinが、直接のエフェクターとして必要であることがわかった。
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