2010 Fiscal Year Annual Research Report
タンパク質品質管理機構におけるアルギニンメチル化酵素の役割
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21790181
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松崎 伸介 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 准教授 (60403193)
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Keywords | 小胞体ストレス / アルギニンメチル化酵素 / 蛋白質品質管理 / ジメチルアルギニン / PRMT1 |
Research Abstract |
小胞体(ER)は、糖鎖付加阻害、S-S結合阻害などによる不良タンパク質が小胞体(ER)内腔に蓄積するとこれを感知・活性化し下流にシグナルを伝え、不良タンパク質の修復や分解、翻訳抑制などの機能を動員し、ER内腔の環境を守るシステム(UPR)が知られている。我々はこれまでに家族性アルツハイマー病における原因遺伝子PS1の変異体や家族性筋萎縮性側索硬化症における原因遺伝子SOD1の変異体がこのUPRを障害し、細胞死を惹起、病態発症に関わる可能性を提唱してきた。しかし、これらUPR障害による細胞死過程には時間的・空間的多様性があり、ERシャペロンタンパク質の発現亢進以外に活性化・不活性化される系が存在するのではないかと考え、網羅的に探索したところタンパク質アルギニンメチル化酵素PRMT1がERストレス負荷により顕著に発現上昇することを見出した。 PRMT1は、DNA修復、タンパク質-タンパク質問結合等への関与が知られている。そこで、PRMT1を誘導するERストレス応答経路を特定する目的で1.PERKによる翻訳抑制経路、2.ATF6や3.IRE 1などによる分子シャペロン誘導経路をそれぞれのノックアウトマウス線維芽細胞(MEF)を用いて、PRMT 1発現を解析した結果、ATF6とIRE1のMEFでPRMT 1の顕著な発現低下が見られ、更にこの2つの因子の下流で働く転写因子XBP 1の強制発現細胞では、PRMT 1の発現上昇が見られた。一方、PRMT1ノックダウン細胞では、ゴルジ体局在の膜タンパク質が顕著に発現上昇し、ERストレスが惹起、ゴルジ体の形態変化が観察された。 以上のことから、我々の研究成果として、ERストレスによりXBP1を介したPRMT1の発現制御が行われており、PRMT1はゴルジ体の機能、形態維持に深く関与し、ひいてはタンパク質の品質管理に関与している可能性を示唆した。
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