2009 Fiscal Year Annual Research Report
生物発光イメージングを用いた軟骨分化における生物時計の機能の解明
Project/Area Number |
21790195
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
権 赫準 Hokkaido University, 大学院・医学研究科, 特任助教 (90447045)
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Keywords | 生物時計 / 分子時計 / 発光酵素ルシフェラーゼ / ウルトラディアンリズム / リアルタイムイメージング |
Research Abstract |
この研究の目的は軟骨分化における生物時計の機能を解明し、それにより軟骨分化の分子機構を明らかにすることである。軟骨分化は長期間の過程であり、生体内でダイナミックな変化が引き起こされること、時計遺伝子の発現はダイナミックに変動することから本研究ではホタル発光酵素ルシフェラーゼによるイメージングシステムを用いてリアルタイムイメージングを行なうことを目指して研究を進めた。第一段階として時計遺伝子BmallとPer2と軟骨分化のマーカーCo12aとSox9のプロモーター領域をそれぞれ緑色、赤色のルシフェラーゼの遺伝子の下流に融合させ、それぞれの遺伝子をレトロウィルスベクタに導入することから多色発光レポーターを構築した。その多色発光レポーターを用いて軟骨分化中における時計遺伝子と軟骨マーカー遺伝子の複数遺伝子の発現をリアルタイムでモニタリングした結果、軟骨分化開始の2-3日後から検討したすべての遺伝子で6-8時間周期のウルトラディアンリズムが観察され、ピック位相まで揃っていることが分かった。この結果からウルトラディアンリズムは遺伝子発現を反映するのではなく発光反応の振動を反映している可能性が推測され、安定に発現するはずのActinプロモーター領域を赤色のルシフェラーゼの遺伝子の下流に融合させたレポーター遺伝子を細胞に導入し、軟骨分化におけるActinレポーター遺伝子の発光をモニタリングした結果、他の遺伝子と同じく6-8時間周期のウルトラディアンリズムが観察され、ウルトラディアンリズムは発光反応の振動を反映していることが明らかになった。 生物のパターン形成において分子時計が重要な役割をすることが知られているが、骨格のパターン形成を調節する振動体はまだ見つかってない。それで、今回の実験で軟骨分化中に誘導されるウルトラディアンリズムが骨格のパターン形成を調節する新しい分子時計である可能性が考えられる。
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