2009 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン関連蛋白質による神経細胞変性死へのグルタミン酸受容体の関与とその分子機構
Project/Area Number |
21790448
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松原 岳大 Nagasaki University, 長崎大学・大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10513294)
|
Keywords | Prion Protein / mGluR1 / Ca^<2+> |
Research Abstract |
本研究の目的はmGluRlとPrPの相互関係を明らかにすることであり、本年度はmGluRlとPrPの結合と、その結合がもたらすmGluRlの機能への影響に関して研究を行った。 まず、mGluRlとPrPの結合に関しては、培養細胞を用いた強発現系において免疫沈降を行ったところ、mGluRlとPrPの結合が認められた。またマウスの小脳を用いて同様の実験を行ったところ、同じようにmGluRlとPrPの結合は確認された。これらのことから、mGluRlとPrPは結合しており、この結合は生理的なものであることが分かった。 つづいてPrPとの結合がmGluR1の機能にどのような影響を与えるか検討した。mGluR1はアゴニスト刺激により小胞体からのCa^<2+>の放出を誘導し、細胞内のCa^<2+>の濃度を上昇させる。そこでCa^<2+>指示薬を用いてPrP存在下におけるmGluR1による細胞内のCa^<2+>濃度の変化を観察したところ、PrP存在下ではmGluR1によるCa^<2+>の濃度上昇が抑えられることが分かった。 Ca^<2+>を介したシグナル伝達は細胞の生命活動の重要な位置を占めており、このCa^<2+>シグナリングの破たんは細胞死にもつながる。このことを本研究の成果と照らし合わせると、PrPが細胞の生命活動において重要な役割を担っており、その役割はmGluR1を介して発揮されていることが推測された。mGluR1とPrPの相関関係は本研究が初めて明らかにしたもので、PrPの正常機能の解明に新たな知見を与えるものであると考える。
|