2010 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン関連蛋白質による神経細胞変性死へのグルタミン酸受容体の関与とその分子機構
Project/Area Number |
21790448
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松原 岳大 長崎大学, 医歯薬学総合研究科, 助教 (10513294)
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Keywords | prion protein / mGluR1 / Ca^<2+> |
Research Abstract |
本研究の目的はmGluR1とPrPの相互関係を明らかにすることであり、これまでにmGluR1とPrPの結合を明らかにし、PrPがmGluR1の活性化を調節しているを見出した。本年度はPrPによるmGluR1の活性化調節を細胞単位でより詳細に検討した。 その結果、PrP存在下ではリガンド刺激によって、すぐさまmGluR1が活性化し、カルシウムイオン濃度の上昇が認められ、数秒後には濃度の低下が始まり刺激前の水準までに戻った。観察したほとんどの細胞で同様な濃度変化を示した。しかし、PrP非存在下では、細胞毎にさまざまな濃度変化を示した。カルシウムイオン濃度の上昇が他の細胞より遅れるもの、一度の刺激で複数回の濃度上昇が見られるもの、さらには濃度上昇が誘導されたのち高い水準でその濃度が維持されるものなど、濃度変化が不規則なものが多く認められた。これらのことから、PrPはmGluR1の活性化の程度だけでなく、mGluR1の活性化のon/offのスイッチとして機能し、時間的な活性化制御も担っていることが考えられた。 Ca^<2+>を介したシグナル伝達は細胞の生命活動の重要な位置を占めており、このCa^<2+>シグナリングの破たんは細胞死にもつながる。このことを本研究の成果と照らし合わせると、PrPが細胞の生命活動において重要な役割を担っており、その役割はmGluR1を介して発揮されていることが推測された。mGluR1とPrPの相関関係は本研究が初めて明らかにしたもので、PrPの正常機能の解明に新たな知見を与えるものであると考える。
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Research Products
(1 results)