2011 Fiscal Year Annual Research Report
プリオン関連蛋白質による神経細胞変性死へのグルタミン酸受容体の関与とその分子機構
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21790448
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松原 岳大 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10513294)
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Keywords | prion protein / mGluR1 / Ca^<2+> |
Research Abstract |
本研究の目的はmGluR1とPrPの相互関係を明らかにすることであり、これまでにmGluR1とPrPの結合を明らかにし、PrPがmGluR1の活性化を調節していることを見出した。本年度はPrPによるmGluR1の活性化調節の結果、細胞死の誘導や細胞の増殖にどのような影響を与えるか検討した。 Ca^<2+> signalingは細胞死など様々な生命活動に関与していることはよく知られている。mGluR1はその活性化により細胞内のCa^<2+>の濃度を上昇させる。また、我々はPrPがmGluR1の活性化の程度だけでなく、mGluR1の活性化のon/offのスイッチとして機能し、時間的な活性化制御も担っていることを示した。このことからPrPの有無によるmGluR1の活性化の活性化制御の変化は、細胞に細胞死を含め様々な影響を与えることが予想された。しかし、flow cytometerを用いた細胞死の検出、細胞増殖の測定などを行った結果、PrPの有無による影響を認めることができなかった。 今回、PrPによるmGluR1の活性化制御が細胞に対してどのような影響を与えるかを明らかにすることができなかった。しかし、狂牛病の牛の脳では、mGluR1シグナルの下流因子でもあるPLCβなどの蛋白質の発現量などが減少していることから、PrPとmGluR1のinteractionがプリオン病における病態にも関与していることも考えられる。 今後は異常型PrPやプライマリーカルチャーなどを用いた実験を行い、PrP-mGluR1 complexの役割を明らかにしたい。
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