2009 Fiscal Year Annual Research Report
GM-CSF遺伝子導入肺癌細胞の抗腫瘍効果に関わる樹状細胞重要因子の同定
Project/Area Number |
21790773
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 芳浩 Kyushu University, 大学病院, 学術研究員 (30536850)
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Keywords | GM-CSF / 樹状細胞 / センダイウィルスベクター / 肺癌 |
Research Abstract |
本研究は、十分な免疫学的小薄用効果を発揮することが示されている非伝播型センダイウィルスベクター(SeV)を用いた、GM-CSF遺伝子導入LLC細胞(LLC/SeV/GM)の抗腫瘍免疫誘導メカニズムを明らかにすることである。その方法としてLLC/SeV/GM接種後の野生型マウス所属リンパ節における活性化樹状細胞と腫瘍抗原特異的細胞傷害性T細胞の誘導に関連のある遺伝子群の同定及び機能的解析を分子学的あるいは細胞学的観点からアプローチした。1.LLC/SeV/GM接種群および対照群マウスの所属リンパ節容積の経時的変化の測定により、LLC/SeV/GM接種群において接種から4日後のリンパ節容積が最大となった。2.LLC/SeV/GM接種群および対照群マウス由来の樹状細胞と野生型マウス由来のT細胞を用いたリンパ球混合培養試験により、腫瘍接種から2日後と4日後のT細胞増殖能を測定したところ、2日後、4日後いずれの場合もCD8陽性T細胞を有意に増殖した。特に接種2日後にその差が著明であった。3.LLC/SeV/GM群及び対照群マウス由来樹状細胞の成熟度解析により、LLC/SeV/GM群においては細胞接種から2日後にDCの成熟マーカーであるCD80, CD86, MHCクラス1分子の発現が上昇していた。以上の結果から、GM-CSF活性化樹状細胞によるリンパ球刺激能が最大になるのは腫瘍接種から2日目で、この時期にGM-CSF活性化樹状細胞がCD8陽性T細胞の増殖・活性化を促進することで抗腫瘍効果を発揮することが示唆された。また、GM-CSF活性化樹状細胞の刺激による免疫系の活性化は腫瘍接種から4日目に最大となり、以降は退縮すると考えられる。次年度はこの知見を元に炎症性サイトカイン解析、in vivoにおけるT細胞のdepletion実験およひマイクロアレイによる網羅的遺伝子解析を行う予定である。
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