2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21790786
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
若木 美佐 Keio University, 医学部, 助教 (30338032)
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Keywords | 経皮感作 / バリア機能障害 / 喘息モデル / 気道過敏性 |
Research Abstract |
従来のマウス喘息モデルでは抗原をハプテンとともに全身投与しなければ感作が成立しないが、われわれは、経皮抗原感作ではハプテンなしでも、感作の強度に応じたTh2型免疫応答と、それに続く好酸球性気道炎症、気道過敏性亢進をきたすことを確認した。今回の検討では全身感作と経皮感作による気道炎症の質的な違いをより明確とすることを目的とした。 C57BL/6マウスの背部に卵白アルブミン(OVA)をしみこませたパッチを貼付(週1回、3回)した後、OVA吸入暴露を行った。全身感作群にはハプテンであるアラムとOVAをともに腹腔内に投与した。曝露は卵白アルブミンエアロゾル(2%)吸入によって行った。暴露翌日、4日目、7日目、14日目に気管支肺胞洗浄(BAL)を行い、BAL液中の炎症細胞数およびその分画、インターロイキン13(IL-13)濃度を評価した。メサコリン気道過敏性はFlexiVent法で測定した。全身感作の方が経皮感作よりも血清中のOVA特異的IgG1値、BAL液中IL-13濃度はより高値となり、BAL液中の炎症細胞数・好酸球数も全身感作群の方が高い傾向を呈した。しかし、メサコリン気道過敏性については両群とも亢進が見られ、感作経路によって差を認めなかった。さらに、全身感作群における気道炎症、気道過敏性亢進は暴露7日目にはほぼ完全に終熄するのに対して、経皮感作群では暴露7日目でも暴露翌日とほぼ同程度の気道炎症、気道過敏性亢進が持続していた。BAL液中IL-13濃度の上昇も経皮感作でのみ暴露7日目まで持続した。暴露14日目には経皮感作群においても気道炎症、BAL液中IL-13濃度とも正常化した。経皮抗原感作によって遷延性の好酸球性気道炎症が生じることが明らかとなり、皮膚バリアを維持して経皮的な抗原の侵入を回避することで喘息の慢性化・重症化を予防できる可能件が示唆された。
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Research Products
(2 results)