2009 Fiscal Year Annual Research Report
培養細胞モデルを用いたシヌクレイノパチー病態機序の解明
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21790831
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 理子 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (40422109)
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Keywords | αシヌクレイン / レビー小体 / GCI / TPPP / p25 / アグレソーム / 細胞死 / アポトーシス / SIRT2 |
Research Abstract |
申請者らはパーキンソン病(PD)多系統委縮症(MSA)におけるα-シヌクレイン(αS)陽性凝集体形成および細胞変性機序を明らかにすべく、α-シヌクレインおよびTPPP/p25αをOG系細胞(KG1C、MO3.13)に過剰発現することで、GCI類似のαS陽性細胞内凝集体を生じると共にcaspase-3活性化を伴う細胞死を起こす細胞モデルを樹立した(投稿中)。この細胞を用い、免疫沈降法によりαSがTPPP/p25αと相互にinteractionすること、ならびにTPPPが発現量依存的にαSのオリゴマー形成をもたらすことを確認した。さらにαS凝集、細胞死のプロセスにおいてはSer129部位におけるαSリン酸化が重要なステップであることを確認した。この細胞でみられる細胞内凝集体はauthenticなレビー小体、GCIと同様、アグレソームのマーカーで陽性となることから、凝集体形成メカニズムについては、微小管を介した逆行輸送系がその形成に深く関与していると推察された。これを踏まえ、過アセチル化により細胞内微小管であるチューブリンタンパクを安定化させるヒストン脱アセチル化酵素SIRT2に着目し、その選択的阻害剤であるAGK2に細胞を曝露したところ、細胞内に大型のαS凝集形成が促進されるとともに、細胞死が部分的に抑制されることを確認した。これらの研究成果は、αS凝集プロセスにおけるTPPP/p25タンパクの機能的役割を示すものであり、さらにはSIRT2阻害によるシヌクレイノパチー治療の可能性を示唆するものといえる。
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