2009 Fiscal Year Annual Research Report
鉄過剰モデルマウスにおける瀉血および鉄キレート療法による鉄代謝関連分子変化の検討
Project/Area Number |
21790904
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Research Institution | Asahikawa Medical College |
Principal Investigator |
細木 卓明 Asahikawa Medical College, 大学病院, 医員 (80455716)
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Keywords | 鉄過剰症 / 瀉血療法 / 鉄キレート療法 |
Research Abstract |
本研究は、鉄過剰モデルマウスに対して、瀉血療法や鉄キレート療法の除鉄療法を行うことによる生体内での鉄代謝関連分子の変動や、各々の関連分子の連動性、除鉄機序を明らかにすることを目的に検討を行っている。iron dextranを腹腔内投与したマウスに対して、1)未治療(鉄過剰群)、2)瀉血療法を行った群(瀉血群)、3)鉄キレート剤のdesferrioxamine(DFO)投与群(DFO群)、さらに4)未処置マウス(正常群)に分けて解析を行った。その結果、各群の血清鉄に有意差はなかったが、フェリチンは正常群と比べ鉄負荷群で著明に上昇し、DFO群、瀉血群でも低下はなかった。定量的RT-PCR法によるmRNAレベルでの検討では、肝臓でのHFE、TfR2、hamp1、hamp2 mRNA発現は各群間で有意差はなかったが、ferritin mRNAはDFO群、瀉血群で、鉄負荷群より有意な低下を認め、またferroportin 1(FPN1)mRNAはDFO群で、鉄負荷群に比べ有意な低下を認めた。同様に十二指腸ではPMT-1、cytb、hephaestin mRNAに差はなかったが、ferritin mRNAはDFO群、瀉血群で低下し、FPN1 mRNAはDFO投与群で低下していた。また我々の開発したhepcidin同時定量系での検討では、DFO群で鉄過剰群より有意なhepcidin発現の増加を認めた。以上の結果から、ferritin発現低下が除鉄療法後も認められないことから、除鉄の初期段階を見ていると考えられたが、その状態でも肝臓や十二指腸でのferritinやFPN1 mRNA低下を認めた。こうした変動は、鉄キレートや瀉血で体内鉄量が減少する方向に傾いても、十二指腸や肝臓でferritinやFPN1発現はむしろ低下し、鉄取り込みが亢進しない動きを呈しており、除鉄治療という観点からは合目的な動きと考えられた。また、現在新規鉄キレート剤であるdeferasirox(DFX)を用いて、さらなる検討を行っている段階である。
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