2009 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-β受容体阻害薬による新規骨髄腫骨病変治療法の開発
Project/Area Number |
21790918
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
竹内 恭子 The University of Tokushima, 医学部・歯学部附属病院, 診療助教 (60511334)
|
Keywords | TGF-β / 骨髄腫 / 骨芽組胞 |
Research Abstract |
多発性骨髄腫は、骨髄微小環境に依存した進展を示し広範な骨破壊性病変を形成する難治性の造血器悪性腫瘍である。本症の骨病変部では破骨細胞形成の亢進と同時に骨芽細胞分化が抑制され、骨破壊と急速な骨喪失が惹起されている。骨芽細胞分化の強力な抑制因子であるTGF-βは、骨基質内に多量に蓄えられており、骨吸収に伴い骨より動員され活性型となる。従って、破骨細胞による骨吸収が著明に亢進している骨髄腫骨病変部では、活性型TGF-βが多量に存在し骨形成を抑制していると考えられる。そこで、TGF-βI型受容体(ALK5)阻害薬によるTGF-β作用の阻害が多発性骨髄腫における骨芽細胞分化および腫瘍進展に及ぼす影響を検討した。得られた結果は以下に要約される。 1. ALK5阻害薬は骨髄腫細胞上清による骨芽細胞分化の抑制を回復し、骨芽細胞分化を著明に促進した。 2. ALK5阻害薬は骨芽細胞のcanonical Wnt経路に影響を与えずBMP-2/Smad1伝達経路を増強した。 3. ALK5阻害薬は骨髄腫動物モデルにおいて骨融解病変の形成と骨髄腫進展を抑制した。 以上より、TGF-β作用の阻害は骨髄腫において骨芽細胞分化を誘導し骨髄腫腫瘍進展を抑制することが示唆された。骨髄腫でみられる骨芽細胞分化の抑制は、骨病変の形成のみならず骨髄腫細胞を成熟骨芽細胞による生存抑制から回避させている可能性がある。本研究で、ALK5阻害薬が骨形成の回復と同時に骨髄腫の腫瘍進展を抑制する新たな分子標的治療法の開発につながり得ることが示された。
|
Research Products
(1 results)