2009 Fiscal Year Annual Research Report
リボソームディスプレイによるヒト型抗インフルエンザH5N1抗体作製と高親和性化
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21790960
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
上地 玄一郎 Nagasaki University, 熱帯医学研究所, 助教 (10420647)
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Keywords | H5N1 / リボソームディスプレイ法 / 抗体 / パニング / 無細胞発現系 |
Research Abstract |
本研究の目的はリボソームディスプレイ法を用いて臨床応用が可能なヒト型抗H5N1インフルエンザ抗体を単離することである。平成21年度の研究実施計画を要約すると、(1)リボソームディスプレイ用のScFvライブラリーの作製、(2)無細胞発現系を用いてmRNAとScFv抗体の複合体を作製し、H5N1抗原に対してパニングを行うという点である。本年度はH5N1インフルエンザウイルスに感染し、その後回復したボランティアから採取したリンパ球より作製したヒト抗体ライブラリーからリボソームディスプレイ法で機能するように5'末端にT7プロモーターを配したScFv抗体ライブラリーを構築した。パニングに用いる抗原はベトナム国立疫学研究所のBSL3施設を利用し、H5N1 (A/HN/31244/07)株をMDCK細胞を用いて増殖させた。増殖させたビリオンは不活後CSレジンおよび限外濾過法によりHA価(赤血球凝集)が65536まで精製濃縮した。ELISAプレートに抗原を固相化し、無細胞発現系をもちいたリボソームディスプレイパニングを3回行った。パニングごとに抗原を認識するScFvタイターが上昇することをELISA法を用いて確認した。その後ScFv遺伝子を大腸菌発現ベクター(pCherry2)に組み込み抗H5N1 ScFv抗体を発現する組み換え大腸菌ライブラリーを作製した。コロニーを一つずつ単離し、96穴ディープウェルを用いてScFv抗体を発現させ、その発現量およびH5N1抗原に対する結合能をELISA法により測定した。現在はスクリーニングの途中であるためH5N1特異的抗体の単離には至ってないものの、本年度研究実施計画の通り「パニングによる濃縮」まで達成できた。
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