2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21791061
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
岡田 悦子 Gunma University, 医学部, 助教 (90334094)
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Keywords | 細胞 / 線維化 / 石灰化 / 腎性全身性線維症 / ガドリニウム |
Research Abstract |
ガドリニウム造影剤を腎不全患者、特に透析患者に投与すると、全身諸臓器の線維化・石灰化をきたす腎性全身性線維症(Nephrogenic systemic fibrosis : NSF)を発症することが知られている。今回我々は、ガドリニウムの皮膚線維芽細胞、前骨芽細胞(MC3T3-E1)、ラット破骨細胞に及ぼす影響について検討した。方法は,ガドリニウムを添加した通常培地と骨分化誘導培地において前骨芽細胞(MC3T3-E1)を培養し,Alizarin red染色で骨芽細胞への分化を観察した。さらにラット破骨前駆細胞をガドリニウムを添加した培地で培養し、破骨細胞の分化への影響をTRAP染色を用いて観察し、また破骨細胞を骨切片上で培養し骨吸収窩を観察するpit formation assayを用いて骨吸収能を検討した。線維化については、ヒト真皮由来線維芽細胞にガドリニウムを添加して細胞増殖能やI型コラーゲンmRNA発現量を検討した。 その結果、骨分化誘導培地においてガドリニウム濃度に依存して骨芽細胞への分化を誘導した。破骨細胞への影響については、ガドリニウムは用量依存性に破骨前駆細胞の破骨細胞への分化を誘導していることが明らかになった。さらに、また、pit formation assyではガドリニウムにより誘導された多核細胞は、貪食能(骨吸収能)を有することを確認した。 ヒト皮膚由来線維芽細胞においては、ガドリニウム添加により細胞増殖が有意に促進されたが、I型コラーゲンmRNA発現を抑制された。 NSFにおける石灰化病変の形成はガドリニウムによる骨芽細胞、破骨細胞の分化誘導によるものと考えられるが、線維化については線維芽細胞のコラーゲン合成に働きかけるものではない可能性が示唆された。
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