2009 Fiscal Year Annual Research Report
マスト細胞から新たな痒み因子IL-31の産生とアトピー性皮膚炎掻痒における役割
Project/Area Number |
21791099
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
原 むつ子 Juntendo University, 大学院・医学研究科, 研究員 (60420832)
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Keywords | マスト細胞 / I1-31 / 皮膚炎 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マスト細胞が"かゆみ"惹起分子の1つであるIL-31を座生し、アトピー性皮膚炎の"かゆみ"症状の発現に直接的に関与するのか、について、in vitro及びin vivoの実験系、及び臨床検体を用いて検証する。ことである。 本年度は、この目的に照らし、ヒトマスト細胞におけるIL-31発現及びその制御機構についての解析を行なった。 我々は、ヒトマスト細胞株LAD2及びヒト末梢血由来培養マスト細胞のいずれにおいても、抗菌ペプチドであるヒトβ-defensin及びLL-37による刺激は、in vitroで有意にIL-31の産生を増加させることを見出した(J Immunol 2009)。またラットでのin vivoでの検討においても、これら抗菌ペプチドの投与はラット耳介皮膚に存在するマスト細胞でのIL-31の発現を上昇させた。さらにこのIL-31産生にはMAPキナーゼ経路(p38,ERK,JNK)の活性化及びGタンパクとPI3K経路の活性化が必要であることが阻害剤を用いた検討から明らかになった。またβ-defensin及びLL-37などの抗菌ペプチドが高発現している乾せん患者皮膚病変組織においてもIL-31が高発現していることも見出した。 以上の結果は、ヒト及びラットのマスト細胞において、抗菌ペプチドによる刺激はIL-31を誘導することを示唆した。この知見は、IL-31を介した新たなかゆみのメカニズム(抗菌ペプチドによるかゆみの誘導)を示すものである。
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