2010 Fiscal Year Annual Research Report
胃癌骨髄におけるmicroRNAアレイを用いた転移機構の解明
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21791297
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石丸 神矢 九州大学, 病院, 医員 (10529887)
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Keywords | 胃癌 / microRNA / 骨髄 / マイクロアレイ / 転 |
Research Abstract |
【具体的内容】胃癌患者骨髄を用いて、microRNAマイクロアレイ及び遺伝子発現アレイを、無転移群4例と有転移群4例に対して試行した。これらの結果を解析し、転移を有する胃癌患者骨髄では、hsa-mir-144が有意に上昇していることが明らかにされた。更に、遺伝子発現アレイの結果から、hsa-mir-144の標的であるFOSB遺伝子は、逆相関する形で上昇していることが示された。FOSB遺伝子の発現を更に多くの症例(健常者15例、胃癌患者280例)の骨髄で確認したところ、stage I からstage IVまで、有意に漸増していた。殊に、リンパ節転移の有無、腹膜播種の有無について、FOSBの発現は有意な予測因子となっていた。これらの結果を更に発展させ、胃癌転移におけるFOSBの重要性を明らかにするため、マウスにおける胃癌モデルを構築した。具体的には、FOSBノックアウトマウスと野生型マウスにおける腫瘍発育・転移の差を検証するものである。【意義と重要性】癌の転移に関しては、従来癌そのものの生物学的挙動が重要視されてきたが、転移の受け手となる「宿主側因子」も同様に注目すべきであるというのが近年の潮流である。ただ、宿主側因子の評価は、その困難さから、未だ確立した実験系はほとんどない。我々の試みは、こうした潮流の先端を行くものであり、研究の意義は非常に大きいものと考えている。尚、マウス胃癌モデルにおけるマウス胃癌の株化細胞は東京大学胃・食道外科(野村幸世准教授)より、又、FOSBノックアウトマウスは九州大学生体防御医学研究所脳機能制御学分野(中別府雄作教授)より譲渡していただいたものであり、両研究室との共同研究となる。
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