2009 Fiscal Year Annual Research Report
強心薬による薬理学的ポストコンディショニング法の開発と分子機序の解明
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21791452
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
東島 潮 Nagasaki University, 長崎大学病院麻酔科, 医員 (20380909)
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Keywords | 薬理学的ポストコンディショニング / ミトコンドリアATP感受性カリウムチャネル / プロテインキナーゼC / PDEIII阻害薬 / カルシウムセンシタイザー |
Research Abstract |
生体モデルを用いて最良の心筋保護効果を発揮する薬理学的ポストコンディショニング法を開発することで臨床応用していくことに本研究の特色がある。本邦では食生活の欧米化が進行し肥満、高血圧、糖尿病などの冠虚血危険因子を有する患者が急増しており、これらのハイリスク患者の周術期管理はよりいっそう困難になってくると予想される。プレコンディショニング同様、ポストコンディショニング効果の分子機序の解明はより有効な心筋虚血再灌流障害に対する治療法の開発に寄与でき、心臓手術や心疾患患者の非心臓手術以外にも周術期の想定外の心筋虚血に対して予後の改善を得るという観点からも意義ある研究と考える。また、異なる強心薬によるポストコンディショニング効果の分子機序の解明は、臨床における治療法に多様性を持たせ、周術期管理の質の向上に繋がるものと考える。平成21年度にはPDEIII阻害薬(ミルリノン)とカルシウムセンシタイザー(レボシメンダン)の2種のinoilatorを使用し、ラットの虚血心筋モデルによりそれぞれのポストコンディショニング効果を証明した。次にこれらのポストコンディショニング効果に寄与した可能性がある分子(ミトコンドリアATP感受性カリウムチャンネル、プロテインキナーゼC)のそれぞれの選択的阻害薬である5-HD,Chelerythrineを併用投与し分子機序の解明を行った。5-HD,Chelerythrineはレボシメンダンのポストコンディショニング効果を抑制した。一方、ミルリノンによるポストコンディショニング効果はこれらの阻害薬により抑制されなかった。PDEIII阻害薬(ミルリノン)とカルシウムセンシタイザー(レボシメンダン)はそれぞれ異なる機序でポストコンディショニング効果を発揮している可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)