2010 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部領域の前癌病変と扁平上皮癌における癌化および進展のメカニズムの解明
Project/Area Number |
21791649
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
北村 剛一 東京医科大学, 医学部, 助教 (50424560)
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Keywords | 頭頸部癌 / EGFR / Cyclin D1 / 扁平上皮癌 |
Research Abstract |
(目的)頭頸部領域の前癌病変と扁平上皮癌における癌抑制遺伝子の役割、そして新たに癌遺伝子の蛋白を調べることにより蛋白レベルの発現が癌化の予測因子になるのか、癌の浸潤の程度や転移の予測因子になりうるかを検討した。平成21年度、舌の前癌病変と舌癌症例を用い、癌抑制遺伝子のp53蛋白の発現とp16の発現が癌化の指標になりうる可能性を示唆した。平成22年度は癌遺伝子の細胞増殖因子であるEGFRと細胞周期の影響を調べるためにcyclinD1が癌の浸潤の程度や予後因子となりうるかを検討した。 (対象)舌の扁平上皮癌の36例である。 (方法)10%ホルマリン固定されパラフィン包埋された標本を用いて、一次抗体は、抗EGFR抗体、抗cyclinD1抗体を用いて免疫組織学的手法にて蛋白の発現を検討した。また、扁平上皮癌をTNM分類に基づきT別に早期癌、浸潤癌に分け、カプランマイヤー法を用いて生存率を計測し、蛋白の発現が予後因子になりうるかを有意差検定を行い判定した。 (結果)EGFR蛋白は、早期癌に比べ浸潤癌では過剰発現がみられた。また、cyclinD1蛋白は、早期癌に比べ進行癌での発現に有意差はなかった。生存率の検定では、有意差はなかったがEGFR蛋白の陽性例が陰性例に比べ予後が悪い傾向を認めた。cyclinD1蛋白は、発現の有無での生存率に有意差はなかった。 (まとめ)口腔の扁平上皮癌では、EGFR蛋白の発現の有無が予後を判定する因子になりうる可能性が示唆された。更に症例を増やし予後判定が可能な因子があるかの検討が必要である。
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