2009 Fiscal Year Annual Research Report
イソプロピルウノプロストンの視細胞保護効果に関する研究
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21791663
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
伊藤 忠 Hirosaki University, 大学院・医学研究科, 助教 (00431453)
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Keywords | 網膜色素変性 / 視細胞保護 / イソプロピルウノプロストン / RCSラット / ロドプシン / アポトーシス |
Research Abstract |
遺伝性網膜変性疾患の代表疾患である網膜色素変性は進行性の視細胞変性を主体とする難病である。本疾患は原因遺伝子異常にともなう視細胞のアポトーシスないしネクローシスがその本体であると考えられている。治療法開発においてアポトーシスやネクローシスによる視細胞死の抑制による視細胞保護はひとつの有力な候補となりうる。イソプロピルウノプロストンはプロスタグランジン系化合物であり、緑内障治療薬として広く点眼薬として市販されている薬物である。この化合物には眼血流の増加、アポトーシスの抑制などを通して視神経への保護効果があるという研究報告が既になされている。本研究ではイソプロピルウノプロストンの神経保護効果を視細胞保護へ応用し、その効果を網膜色素変性モデルラットであるロドプシンP23HトランスジェニックラットおよびRCS(Royal College of Surgeon's)ラットを対象にして本薬剤の視細胞保護効果を検証することを目的とした。これらのモデル動物に本薬剤を1日2回点眼したところ、RCSラットでは効果は確認されなかったが、ロドプシンP23Hトランスジェニックラットでは網膜電図のb波の振幅が有意に高値を示した。電子顕微鏡的に視細胞を観察すると視細胞外節と網膜色素上皮の接触面で視細胞外節が対照群では不整な形態を示したのに対して、本剤投与群では配列の乱れはみられなかった。以上の結果からイソプロピルウノプロストンはRCSラットにおいて網膜色素上皮や視細胞の機能を保護する働きがあることが示唆された。
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