2009 Fiscal Year Annual Research Report
直腸肛門奇形モデルマウスにおける神経・筋発生異常の分子生物学的解析
Project/Area Number |
21791734
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
津田 知樹 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学部附属病院, 専攻医 (40319132)
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Keywords | 直腸肛門奇形 / モデルマウス / クラリーノ症候群 / 神経・筋発生 / レチノイン酸 |
Research Abstract |
直腸肛門奇形の発生に関しては100年以上にわたって議論されてきた。van der Putteは直腸肛門奇形を有するブタでパラフィン切片を作成し、HE染色標本から形態的にその発生過程を述べた(Normal and abnormal development of the anorectum.S.C.J.van der Putte.J Pediatr Surg21(5):434-440,1986)。また、KluthらはSDマウス胎仔を用いて走査電子顕微鏡の所見より直腸肛門奇形の発生過程を論じた(The principles of normal and abnormal hindgut development. Kluth D, Hillen M, Lambrecht W.J Pediatr Surg 30(8):1143-1147, 1995)。しかし、これらの研究はいずれも形態学の域を脱していなかった。我々は、再現性に安定している直腸肛門奇形モデルマウスを用いることにより、分子細胞学的解析を重ねてきており、確実な研究成果を報告してきた。今回の研究も、このようなモデルマウスに対する実績が裏付けされているものである。本研究にて最終的に予定している直腸肛門奇形モデルマウスと脊髄係留症候群との形態学的・分子生物学的検討は、国内外を問わずいまだ報告されておらず、本研究は確実なpriorityを有する初の研究に位置すると考えられる。 現在、直腸肛門奇形モデルマウスとクラリーノ三徴の形態学的類似性に着目し、クラリーノ症候群の原因遺伝子であるHLBX9遺伝子を制御するTGFβの直腸肛門領域の発現が、レチノイン酸投与により抑制されることを実験にて確認した。このことは、レチノイン酸とTGFβの相互作用を示唆する世界発の結果であり、"The 2010 British Association of Paediatric Surgeons Congress"にて発表予定である。
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Research Products
(5 results)