2009 Fiscal Year Annual Research Report
メタボリックシンドロームに対する矯正治療の基礎的検討-血管の応答性に対して-
Project/Area Number |
21792052
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
角野 晃大 Hokkaido University, 北海道大学病院, 医員 (60455673)
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Keywords | 微小血管 / メタボリックシンドローム / 糖尿病 / 機械的刺激 |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームの中核をなす糖尿病を有するものに対して矯正治療を行う際の至適矯正力を設定することを念頭に,ラットを用いた実験モデルを構築した.streptzotocinの腹腔内投与により糖尿病を発症させ,投与2日後に血糖値が300mg/dl以上を示したものを糖尿病群とした.血糖値は実験期間を通して400mg/dl以上であり,ほぼ一定の値を示していた.10週齢のラットをコントロール群,糖尿病誘発群に分け,ラット上顎切歯と上顎第1臼歯間に0.15mm径(約13g)のNi-Ti closed coilを用いて持続的な機械的刺激を加えることで臼歯の近心移動を行い,歯の移動距離,歯根膜内及び周囲の組織をパラフィン切片にて観察した.歯の移動距離は糖尿病群においてコントロール群と比して小さく,実験開始4週間後で6割程度であった.実験開始4週目において糖尿病群ではコントロール群と比較して牽引側歯根膜腔の拡大が著しかった.両群共に牽引側では歯根膜繊維に沿って存在する30μm程度の後毛細血管細静脈が多く認められたが両群で大きな違いは認められなかった.圧迫側では糖尿病群においてコントロール群よりも経の太い静脈が多く認められた.このことより,糖尿病群における血管の機能が異なることが示唆され,今後の課題として,血管及び歯槽骨-歯根膜周囲の特異的なタンパク質の同定を行うための免疫染色法の確立と,シグナル分子の検索を行うことが必要と考えられた.また,糖尿病誘発群の長期的な観察を行い,血管ネットワークの発達,機能変化を検索していく予定である.
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