2021 Fiscal Year Research-status Report
ソースコード解析に基づく初期UNIXにおける実装と発展経緯の解明
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21K00256
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
鷹合 大輔 金沢工業大学, 工学部, 准教授 (90440487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 充 関東学院大学, 人間共生学部, 教授 (10350753)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | UNIX / プロセス / ソースコード / オペレーティングシステム / システムコール / タスク切り替え |
Outline of Annual Research Achievements |
1971年に開発されたUNIXv1におけるプロセス管理のメカニズムについて,そのアセンブリソースを元にしてその解析を行った.その結果,UNIXv1では16個のプロセスを管理するための領域(プロセススロット)がカーネル空間に用意されていることがわかった.また,オンメモリプロセスは一つしかないため,いわゆるマルチプログラミングではないということがわかった.プロセスの切り替えを行う場合は,固定ディスクを利用してプロセスイメージをスワップアウトし,別プロセスのイメージをスワップインする方式をとっていることがわかった.つまり,スワップ処理がそのままプロセスの切り替えとなっている.プロセス切り替えにはreleというシステムコール兼サブルーチンがカーネルから呼び出されることも判明した.プロセスがreleシステムコールを使った場合,システムコールの最後の部分でカーネルがreleをサブルーチンとして呼ぶ場合,タイマ割り込みでカーネルがreleをシステムコールとして呼ぶ場合の3つの場合があることも判明した.simhシミュレータ上で動作しているUNIXv1のシステムコールをトレースするためのツールの開発も行った.このツールを開発したことで,UNIXv1の内部状態が細かく取得できるようになり,ソースコード解析を効率的に進められるようになった.また,他のバージョンのUNIXの解析にも応用が可能であると思われるので,開発を続ける予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は,最初のUNIXであるPDP7-UNIXを初めとして,PDP11で動作する初期のUNIXのメカニズムの進化の過程をソースコード解析によって明らかにすることである.これまでの研究ではプロセス管理機能に注目して解析をおこなってきた.形跡状況としては,UNIXv1に関する解析は概ね完了し,PDP-7 UNIXとUNIXv4,UNIXv5についても一部解析が進んでいる.また,解析作業を効率化するためのシステムコールトレーサも試験的に開発した.このトレーサは現在UNIXv1用に特化しているものの,解析に非常に有効であることがわかったので,これを改修して初期の他のUNIXへの応用する方法を検討しているところである.
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究でトレーサが解析に効果的であるとわかったので,UNIXv1用に開発したシステムコールトレーサを,PDP-7 UNIXと,UNIXv4でも使えるようにすることを優先する.そのためには,それぞれの計算機環境の調査が必要である.特に,UNIXv4が動作する環境では仮想記憶システムが導入されているため,PDP-11シリーズの仮想記憶方式を調査・確認する作業が必要である.これらの調査・確認を終えた後,トレーサを改修し,PDP-7 UNIXと,UNIXv4の挙動(プロセス切り替え,システムコール,ファイルアクセス,割り込み処理)をすべて捉えられるようにする.その後,PDP-7 UNIXや,UNIXv4で動作するテストプログラムをトレースし,UNIXカーネルのソースコードと突き合わせつつ解析を進める.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により学会発表がZoom開催となり,関連する旅費が発生しなかったこと,研究協力者に謝金を伴う調査を依頼しなかったことなどから,次年度使用額が生じた.次年度では解析・資料をバックアップするための専用の機器の購入や,研究協力者に対する調査依頼,学会参加などで助成金を使用する計画である.
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Research Products
(1 results)