2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K00853
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
豊見山 和行 琉球大学, 人文社会学部, 教授 (40211403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤嶺 守 名桜大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20212417)
麻生 伸一 沖縄県立芸術大学, 音楽学部, 准教授 (30714729)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 琉球古文書 / 分散古文書 / 市来四郎 / 琉球国要書抜粹 / 宗属関係史 / 奄美諸島 / 多良間島 / 久米島 |
Outline of Annual Research Achievements |
本科研の目的は、沖縄県内外に分散した琉球古文書の調査・収集を行うことと、それらの古文書を史料学的に分析・研究することにある。前者はハワイ大学ハミルトン図書館蔵の『御評定所科文』(墨付き99丁)をデジタル撮影し画像データを入手した。その他、沖縄県内では多良間島(『多良間島番所日記』等)や久米島(『疱瘡伝 上巻』『麻疹伝』等)の古文書の画像データを収集した。『御評定所科文』に関してはデータ入手後、週1回、オンラインによって研究分担者(麻生伸一)を含めたメンバーで冒頭部分から読解作業を行い、全体の3分2を読了し、テキストデータ化した。本年度の分担者の取り組み状況に関する打ち合わせ会議をオンラインによって2回実施した。3回目のオンライン会議では、研究代表者および分担者および研究協力者を含めた4名による研究発表会を実施し、本科研の研究テーマに関係する研究者の参加を得ることができた。 豊見山和行(研究代表者)は「「市来四郎写本「琉球国要書抜粹」に見る琉球の内政・外交状況について」、赤嶺守(研究分担者)は「「中琉関係史研究の動向と展望―宗属関係史研究の視座」、麻生伸一(同)は「近世期の奄美について―『琉球王国評定所文書』、尚家文書を中心に」、比嘉吉志(研究協力者)は「琉球国末期における唐銭の流通と規制をめぐって」を報告し、活発な質疑応答を行った。各報告は、本科研で収集した新出史料や既刊史料の再検討によって新たな研究成果をあげることができた。そのことは、琉球史研究の新たな研究領域を開拓する一歩となるものと言えよう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1に、海外に所蔵されている古文書(ハワイ大学蔵「琉球評定所科文」)をデジタル撮影によって入手し、その分析を着実に行い、約3分2を読解したことによる。 第2に、旧来、離島(多良間島、久米島)に散在する古文書に関しても調査を行い、一部はそれらのデータを入手することができたことによる。 第3に、コロナ禍によって、調査や会議・研究会活動の面において制約を受けているが、オンラインを活用することによって、それらのマイナス面を是正することができたことによる。 第4に、研究報告会において、各報告によって本科研が着実に進展していることが確認できたことにある。 第5に、オンラインで参加した研究者と活発に討議することによって、次年度以降の本科研の研究課題がより一層明確になったことにある。 以上のことから、本科研はおおむね順調に進展しているものとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の進め方は、研究計画を変更する必要は無く、初年度に取り組んだ方法に基づいて展開する予定である。 具体的には、第1は、「御評定所科文」の残り部分の読解とテキストデータ化を完成させることにある。第2は、離島関係の古文書の収集と読解を行うことにある。特に、多良間島の古文書群と久米島の古文書群(上江洲家文書を中心とした)の収集、分析を行うものとする。第3は、コロナ禍が沈静化し台湾への出張調査が可能となった場合には、台湾大学図書館所蔵の古文書調査とその収集を行う計画を立てている。同地への出張が不可能な場合には、事前準備として、同大学がインターネットで公開している古文書(田代安定関係文書)に関して検討を加えることを予定している。 年度末には、研究報告会を開催し、今年度同様に研究分担者を含めた研究報告会によって研究の進展を図るものとする。
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Causes of Carryover |
次年度使用額として11,145円が生じた理由は、研究代表者および研究分担者の使途において、物品注文(その他、書籍)の手続きが遅れたことによる。次年度は、必要物品(書籍)を計画的にかつ早急に入手する予定である。
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Research Products
(7 results)