2021 Fiscal Year Research-status Report
多面的・多角的に考え判断し行動する力を育成する道徳教育プログラムの開発
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21K02467
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 由美子 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (40206545)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 道徳教育 / 教材開発 / 道徳教育プログラム / 違いを受け入れる / 自己変容を促す |
Outline of Annual Research Achievements |
R3年度は、「違いを受け入れる」価値を教える教材や資料、道徳教育プログラムに関する内外の資料を収集し、これから開発する道徳教育プログラムの理論的基盤を構築することを目的とした。 収集した資料の検討から、「違いを受け入れる」ことが含む価値内容として、大別して相互理解、異文化理解、寛容などのように他者に対する理解を目指す内容と、克己、従順、弱さへの共感のように自分自身の変容を目指す内容との2種類があることがわかった。これらの点について日本の道徳科の教材を検討したところ、相互理解、異文化理解、寛容などのような教材は日本でも開発されているが、克己、従順、弱さへの共感などのように、自分自身を見つめ、自己変容を促す教材の開発が不十分であることが明らかになった。そこで本研究では、自分自身を見つめ、自己変容を促す教材の開発を行うこととした。 克己、従順、弱さを見つめるという点で、近代教育の父とされるJ.H.ペスタロッチーの道徳教育論に着目することにした。ペスタロッチーは、道徳教育においては、道徳的感情の喚起、克己の訓練、道徳的見解の育成の3点が重要だと述べている。特に、克己の訓練に着目して、本研究の理論的基盤を構築することにした。この点で、鈴木・宮里(2019)の集団的構成的体験活動モデルを基盤として、体験活動の中で生じる克己の必要性を意識化する教材を開発していくことにした(鈴木由美子・宮里智恵(2019)『やさしい道徳授業のつくり方』溪水社)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R3年度は、「違いを受け入れる」価値を教える教材や資料、道徳教育プログラムに関する内外の資料を収集し道徳教育プログラムの理論的基盤を構築することを目的とした。収集した資料の検討から、「違いを受け入れる」ことが含む価値内容として、大別して相互理解、異文化理解、寛容などのように他者に対する理解を目指す内容と、克己、従順、弱さへの共感のように自分自身の変容を目指す内容との2種類があることがわかった。これらの点について日本の道徳科の教材を検討したところ、相互理解、異文化理解、寛容などのような教材は日本でも開発されているが、克己、従順、弱さへの共感などのように、自分自身を見つめ、自己変容を促す教材の開発が不十分であることが明らかになった。そこで本研究では、鈴木・宮里(2019)の集団的構成的体験活動モデルを基盤として、自分自身を見つめ、自己変容を促す教材として、体験活動の中で生じる克己の必要性を意識化する教材の開発を行うこととした(鈴木由美子・宮里智恵(2019)『やさしい道徳授業のつくり方』溪水社)。このように理論的方向性が示されたので、概ね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
R4年度は、「違いを受け入れる」価値に基づいた道徳教育の教材を作成し、それを中心にして道徳授業と教科や体験活動を組み合わせた道徳教育プログラムモデルを開発する。具体的には、克己、従順、弱さへの共感など自己を見つめ自己変容を促す教材を開発し、そうした感情や考え方が生じるような体験活動を設定する。設定した体験活動に基づいて、他教科や学校行事等を組み合わせた道徳教育プログラムモデルを開発する。その際、鈴木・宮里(2019)の集団的構成的体験活動モデルを基盤として、体験活動の中で自分自身を見つめ、自己変容を促す教材として、体験活動の中で生じる克己の必要性を意識化する教材を開発する(鈴木由美子・宮里智恵(2019)『やさしい道徳授業のつくり方』溪水社)。これらについては、研究協力者である小学校教員(小原智穂教諭)に協力を依頼するとともに、研究会を開催して研究協力者である宮里智恵教授、森川敦子教授、椋木香子教授の指導助言をいただく。研究会は、COVID-19の感染状況により、対面またはオンラインで行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため研究会をオンラインで開催することになり、旅費を使用しなかったため。R4年度は、コロナ禍が収束した場合、研究会旅費として使用する予定。研究会をオンラインにした場合は、オンライン用機材を調達する予定。
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Research Products
(2 results)