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2023 Fiscal Year Research-status Report

比較書字教育研究に基づく左利き者に有効な書写学習モデルの開発

Research Project

Project/Area Number 21K02488
Research InstitutionShinshu University

Principal Investigator

小林 比出代  信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (10631187)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords書写教育 / Handwriting / 左手書字 / 書字教育 / イギリス / 原著和訳 / 日本への適用の可能性
Outline of Annual Research Achievements

本研究の3年めにあたる2023年度は、昨年度の研究実績と課題をふまえ、①『ナショナルカリキュラム』に左利きの児童が必要に応じて具体的な指導を受けるべきであると明記されており、左手書字者のための実際の指導に関する著述が刊行されているイギリスで出版された左手書字指導に関する文献を検討し、②その内容を日本における左手書字指導の改善に用いる可能性について考察した。①によって、左手書字者のための実際の学習指導内容や方法に関する研究が微少な日本における左利き者の書字教育について新たな示唆が得られると想察する。しかし、現在イギリスにおいて出版された左利き者の書字教育に関する文献で和訳の上出版に至っているのは,Lauren Milson(2008):Your Left-handed Child Making things easy for left-handers in a right-handed world. London, UK:hamlyn.1冊のみというのが実状である。本研究では、イギリスで出版された左利き者の書字教育に関する未邦訳の文献3冊を和訳し、漢字圏とは異なるアルファベット圏との視点から、イギリスにおける左利き者の書字教育に関しての学習内容及び指導方法について解釈を試みた。本研究での成果は、この後に続く研究すなわち日本での左利き者の書字教育において参照活用できる可能性を考察するための基礎研究となる。②では、はじめに、当該文献から左手書字者に対して配慮すべき点や指導内容を抽出した後、日本の書写教育で用いられる分類事項(「姿勢」「持ち方」等)によって分類し、日本での適用が可能か考察するための検討をおこなった。その結果、Aすぐに生かせる可能性があること/B検討の上生かせる可能性があること/C基礎研究や調査の上判断すべきことの3つにまとめられることが明らかになった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本年度の研究成果として、①イギリスで出版された左手書字指導に関する文献を検討し、②日本における左手書字指導の改善に用いる可能性を詳細に考察できた点から「おおむね順調」と判断した。①でこの後に続く日本での左利き者の書字教育に関する研究で参照活用できる基礎研究が為され、②で日本の書写教育で用いられる分類事項に基づき、日本での適用が可能か具体的に検証できた。
①での3文献に共通する特徴は、左手書字に関する具体的な指導法が著されていることである。日本の場合、左利き者の書字教育においてその問題点を指摘した論考や基礎研究は存在するものの、左手書字者のための実際の学習指導の内容や方法に関する実践的な研究は僅少であるのに対し、イギリスの場合、本研究で扱った文献のように左手書字者のための実践的な論考が存在する。日本の研究成果とイギリスの実践的な論考とを結びつけることでより効果的な成果が期待できる。イギリスでの実践に関しての具体的な内容と日本での左手書字の基礎研究とを連携させて考察すると、イギリスの書字と日本の書字(用いる文字や書式等)、日本での横画の右上がり、イギリスでの点画の傾きといった差異はあるが、日本とイギリス、基礎理論と実践とで、比較的共通の問題として考えることが可能だと推察できる。この中には、書字する手に関わらず重要だが、特に左手書字者のみに肝要と考えられる内容が多く含まれる。例えば、筆記具の持ち方の問題や、書字方向、手が汚れる問題、鏡文字等についてはこれからの課題として特に重視しながら、左手書字指導の観点から、イギリスでの具体的な指導及び学習内容の日本における適用の可能性について考察を深めたい。その際には、日本の書写教育における学習内容を再度確認検討することも重要である。例として、持ち方と姿勢の関係が挙げられ、左手書字者の筆記具の持ち方と姿勢に関する研究は重要だと考える。

Strategy for Future Research Activity

本研究の2~3年めにあたる2022~2023年度は新型コロナウイルス感染症対策の最中にあったため、計画していたイギリスでの実地調査が遂行できていない。次年度は、「基盤研究(C)代表 2015~2018」において現地で蒐集した文献を先述の研究期間に翻訳及び検証考察した結果から明らかになった、イギリスにおける書字学習指導の現状を把握するために、実地視察について検討する。一方で、日本語を左手で書字する際の特有な問題に対する方策として、紙を傾けることによる対応が日本語書字において適切であるのか、及び、イギリスで否定されている「逆手による対応」を日本語書字においても否定してよいのかといった喫緊に対応すべき課題に関して、2023年度の研究成果をふまえて検証する。

Causes of Carryover

2023年度は2022年度より状況が落ち着き、国内の出張は従前の形に戻ってきたものの、海外出張については新型コロナウイルス感染症対策への留意を要したため、予定の形での出張費は施行できなかった。次年度は、実地での調査を視野に入れて当初計画に沿うために尽力する。

  • Research Products

    (2 results)

All 2024

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] イギリスの関連文献の考察による日本の左手書字指導改善の可能性と課題2024

    • Author(s)
      押木秀樹・市ノ瀬有香・小林比出代
    • Journal Title

      上越教育大学 国語教育研究

      Volume: 38 Pages: 74(1)- 59(16)

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] イギリスの左手書字に関する文献の概要と日本の左手書字指導への適用の可能性2024

    • Author(s)
      小林比出代・市ノ瀬有香・押木秀樹
    • Organizer
      第38回全国大学書写書道教育学会

URL: 

Published: 2024-12-25  

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