2021 Fiscal Year Research-status Report
東京オリンピックが生み出した遺産に関する社会学的研究
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21K11361
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
石坂 友司 奈良女子大学, 生活環境科学系, 准教授 (10375462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小澤 考人 東海大学, 観光学部, 教授 (50631800)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 東京オリンピック / 遺産 / 社会学 / 都市 / メガイベント |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は東京オリンピックの遺産(レガシー)がどのように生み出されたのか、大会後の経年変化を踏まえ、開催計画の検証と地域ではじまる諸実践の現地調査(質的調査)、社会調査(量的調査)を通じて社会学的に明らかにするものである。オリンピックの遺産とは、開催の過程、開催後の足取りを経て地域に生み出されていくものである。開催計画が描いた青写真がどれだけ実現されたのかを大会後に検証することを目的とする。 東京大会はコロナ禍で一年延期の末、2021年7月に開催された。オリンピック史上初めて延期を経験した大会として、開催意義が問い直されてきた大会でもあり、住民の評価にも変化がみられていることが予想される。また、無観客開催になったことで、都市や地域に生み出されると見込まれた遺産の多くが不透明にならざるを得なかった。このように、世界的、歴史的にも類を見ない東京大会の独自性と、都市における影響の多様性を長期間にわたって検証し、国際的比較をも可能にすることが本研究の目的である。 筆者らがこれまでのオリンピック研究から形成してきた「オリンピック遺産の評価枠組み」をもとに、経年的に、行政などが発行しているさまざまな統計指標の収集・評価を行う。そのうち、2021年度は大会開催を同時進行的にとらえながら、開催時の競技場利用や世論の動向、予算面における推移について情報収集を行った。また、大会後はホストタウンに選ばれたいくつかの地域を訪問し、担当者への聞き取り調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東京大会開催に向けて関連する書籍の刊行を行うとともに、様々な行政文書、統計データ、各新聞社の世論調査の動向などを収集した。大会開催中は無観客開催となった会場の写真撮影や都市の様相について現地調査を行った。 大会後は「復興ありがとうホストタウン」に指定されているいくつかの地域を訪れ、担当者への聞き取り調査を複数回実施し、復興とオリンピックの関係性、ホストタウンの実情についての事例調査を行った。コロナ禍で予定していた東京都や関連する区のオリパラ関係者への聞き取り調査が延期となった。
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Strategy for Future Research Activity |
大会から一年後の2022年度に、江東区などを対象にして大会後の期待や評価の変化を探る量的調査(質問紙によるアンケート調査)を実施する予定である。また、一定の期間をおきながら「オリンピック遺産の評価枠組み」について継続的に情報を収集するとともに、ホストタウンやオリパラ教育を実施した関係先に聞き取り調査を実施する。 最終年度に本研究成果の公表が行えるように、書籍の出版計画を立てる。
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Causes of Carryover |
本研究は現地での聞き取り調査を実施するため、新型コロナウイルスの断続的な感染拡大を受けて、特に東京都内での調査が実施できない期間が続いた。そのため出張旅費などが消化できずに終わった。2022年度は感染状況の推移を見守りながら聞き取り調査を実施するとともに、大会一年後の7月に調査票による量的調査を実施予定である。
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Research Products
(7 results)