2021 Fiscal Year Research-status Report
society5.0におけるデータ解析に資する高性能線形計算技術の研究
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21K11909
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
深谷 猛 北海道大学, 情報基盤センター, 助教 (30633846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相島 健助 法政大学, 情報科学部, 准教授 (40609658)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 線形計算アルゴリズム / 高性能計算 / 分散並列計算 / エッジコンピューティング / ビッグデータ処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,Society 5.0におけるビッグデータ解析の基盤となり得る新しい線形計算アルゴリズムの研究開発を行う.エッジコンピューティングに代表される,従来のスーパーコンピュータとは異なる特徴を有する分散並列計算インフラ上で,IoTなどから生成される分散データを効率的に解析するために必要となる線形計算技術に関して,HPCと数理の両方の知見に基づいてアルゴリズムの研究開発を実施する. 2021年度は,分散並列環境における代表的なデータ分析手法(例:主成分分析,回帰分析)の現状に関する調査を行った.調査の結果,組み込み機器におけるストリームデータの主成分分析等の具体的なアプリケーション事例の現状を把握することができた.今回の調査の限りでは,アルゴリズムや実装方法において,性能改善に向けた検討の余地が十分にあることが分かった.一方で,使用メモリ量など,従来のHPCアプリケーションとは評価尺度の優先度が異なることも確認できた.今後は,今回の調査結果を踏まえて,本課題で取り組む具体的な問題設定や評価尺度などを整理する. 上述の調査と並行して,これまで研究を行ってきた行列計算アルゴリズムの中で,本課題と関わりの深い,行列のQR分解のアルゴリズムに関する研究を実施した.具体的には,縦長行列のQR分解を行う様々なアルゴリズムに関して,異なる特徴を持ったスーパーコンピュータ上での実行時間を評価した.特に,全体の実行時間に加えて,内部の通信時間などに関する詳細な測定を実施しており,得られた結果を用いて各アルゴリズムの実行時間の性能モデルを構築することで,エッジコンピューティング環境における各アルゴリズムの実行コストの予測等が可能となる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の初年度として,当初の予定通り,各種調査を進めるとともに,過去の研究成果に基づいた実験を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に実施した調査の結果を踏まえて,本研究で取り組む具体的な問題設定や評価尺度等を整理する.その後,設定した条件下における既存技術(アルゴリズム)の評価・分析を行うとともに,新しいアルゴリズムの研究開発を行う.また,2021年度と同様に,過去の研究成果の中で,本課題と関連が深い数値計算アルゴリズムに関する研究開発を継続する.
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により,打合せや学会がオンライン開催となったため,旅費が不要となった。また,ノートPC等に関して,既存の物品を活用することができたため,当該年度での購入を見送った。COVID-19の状況により引き続き旅費としての執行が難しい場合には,プログラム開発の外注等も視野に入れて,適切な執行を適宜検討する。
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