2023 Fiscal Year Research-status Report
society5.0におけるデータ解析に資する高性能線形計算技術の研究
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21K11909
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
深谷 猛 北海道大学, 情報基盤センター, 准教授 (30633846)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
相島 健助 法政大学, 情報科学部, 准教授 (40609658)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 線形計算アルゴリズム / 高性能計算 / 分散並列計算 / エッジコンピューティング / ビッグデータ処理 / QR分解 / 線形回帰モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、エッジコンピューティングに代表される、Society 5.0時代に重要となる計算環境を念頭に置いて、ビッグデータ解析の基盤となり得る効率的な線形計算アルゴリズムの研究開発に取り組んでいる。高性能計算と数理の両方の視点に基づいて、アルゴリズムの研究開発を実施することで、Society 5.0におけるビッグデータ解析の効率化に貢献することを目指している。 2023年度は、縦長行列のQR分解で列ピボットを行う場合に対して、コレスキーQR型アルゴリズムを拡張した。新しく開発したアルゴリズムは、通常(列ピボットがない場合)の縦長行列のQR分解の場合と同様の特徴を持つため、最新の計算機環境で効率的に動作することが期待される。実機上での性能評価の結果、広く利用されている従来法よりも高速であることが確認され、その有効性を示すことができた。 また、2022年度に続いて、非縦長行列のQR分解に対するコレスキーQR型アルゴリズムの応用にも取り組んだ。2023年度は、前年度に開発した手法の分散並列化を中心に取り組み、一次元ブロック分散を採用したアルゴリズムの開発を行った。北海道大学と東京大学のスーパーコンピュータシステムを用いた性能評価を実施し、分散並列環境においても、我々が開発している手法が有望であることが確認できた。 上記の実施内容に加えて、線形回帰モデルとそれに関連した固有値計算のための射影法に関して、理論的な解析を行い、重要な数学的性質を明らかにした。具体的には、ある種の線形回帰モデルについて、従来の数値計算結果の統計学的な意味での妥当性を示すことができ、今後、より現代的なモデルや数値計算技術に対して、重要な数学的性質を明らかにできる可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定と多少の差異はあるが、具体的な研究開発を実施し、有用な結果を得ることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画から課題実施期間を延長し、2024年度も本研究課題を実施することとした。2024年度では、これまでの実施内容の細部を詰めるとともに、エッジコンピューティングで想定される計算環境におけるアルゴリズムの性能の見積もり(予測)を行うことを計画している。また、理論面の研究が主であった線形回帰モデルの計算について、高性能実装の面からの議論を行う予定である。
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Causes of Carryover |
研究期間前半のCOVID-19の影響により、当初の計画で予定していた学会参加や研究打合せのための旅費の執行計画を変更したため。また、既存の物品や利用可能な計算機資源の活用により、物品費の執行計画を見直したため。変更分については、主に、一年延長した研究期間における学会発表の旅費として執行する予定である。
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