2021 Fiscal Year Research-status Report
A study of frame theory and its application to signal analysis
Project/Area Number |
21K11945
|
Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
藤ノ木 健介 東海大学, 理学部, 准教授 (80613629)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | フレーム / 基底 / 信号処理 / 時間周波数解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
調和解析の分野においてフレームと呼ばれる冗長な基底が古くから知られている。直交基底や双直交基底などの条件の厳しい基底を新たに作ることは一般的に難しいと考えられているが、フレームはより条件を緩めて構成することができるため、現代でも比較的まだ様々な進展が見受けられる。また、フレームの柔軟な枠組みのおかげで、基底のように扱える上にユニークな性質や特徴を有するフレームを設計しやすいという側面から、信号処理などの純粋数学以外の分野への応用も広がっている。 本研究課題ではフレームと信号解析における応用のさらなる可能性について研究する。フレームは冗長な基底ゆえに、信号処理などに応用した際に通常の基底と比べて計算量が増えてしまうという問題もあるが、近年の技術革新によりこうした計算コスト面は問題とならない場合もある。 本年度は初年度のため、主に準備的な検討を進めた。ヒルベルト空間におけるフレームに関する関連文献を精査し、フレームの一般論と最近の応用分野についてまとめた。特に、時間周波数解析に特化したフレームであるガボールフレーム、ウェーブレットフレームなどの時間周波数フレームに着目し、それらの性質や特徴、拡張性について低次元で検討した。ガボールフレームは、平行移動によって生成されるサンプリング定理にも適用できる並進フレームに、複素指数関数パラメータを導入したものであるが、ウェーブレットフレームは複素指数関数の代わりに伸張パラメータを用いたものである。両者はともに平行移動パラメータを有するため似たような性質を持っているが、ウェーブレットフレームの方がかなり構造的に複雑で、ガボールフレームで成り立つシンプルな性質が必ずしも成り立たない場合があることがわかった。逆にウェーブレットフレームでしか成り立たないシンプルな性質もあることもわかり、両者の特徴を整理することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画に沿って特に問題なく研究を進めることができた。1年目の主な目標は低次元での検討だったが、これまでの蓄積もあって、おおよそ達成することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の結果を次年度につなげて、今後も当初の研究計画に沿って研究を進めていきたい。次年度は低次元で検討した内容の拡張について検討するとともに、計算機によるシミュレーション実験が主な課題となるので、これらの項目について取り組む。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの感染拡大の影響が当初の想定以上に長引き、計画していた学会や打ち合わせ等がオンライン実施となったため未使用額が生じた。来年度もこの状況が続くようであれば、未使用分の旅費を高性能計算機などの研究環境の充実化費用に充当し、より高度な研究成果の創出を目指す。
|