2022 Fiscal Year Research-status Report
A study of frame theory and its application to signal analysis
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21K11945
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
藤ノ木 健介 神奈川大学, 工学部, 准教授 (80613629)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フレーム / ウェーブレット / リフティングスキーム / 画像処理 / 輪郭強調 / 鮮鋭化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き時間周波数解析に特化した時間周波数フレームとその周辺を研究した。これまで研究を進めてきた、リフティングスキームを用いた方位選択性を有するウェーブレット変換とフレームの関係についても精査した。代表者が提案した方位選択性を有するウェーブレット変換は、画像を多方位のマルチスケール成分によって表現することが可能なフレーム的性質を持っており、この性質に着目した画像処理の有用なアプリケーションについて検討を進めた。画像に対する計算機シミュレーション実験の結果、画像の輪郭強調や鮮鋭化において従来法よりもかなり優位である可能性が示された。さらに、方位選択性を有するウェーブレット変換により得られた画像のエッジに関する多方位のマルチスケール成分から、入力画像固有の特性に応じた適切な方位成分を選択して処理を施すことで、ノイズが混入した画像のノイズ除去にも有効である可能性を見出した。このことは、画像の非線形近似や電子透かしの埋め込み、ぼかし検出、ボケ画像の復元などの他の様々な画像処理問題においても広く応用できる可能性を示唆しており、意義ある結果であると考えている。 一方で、画像の4近傍画素の相関を見る離散直交変換であるハールライク変換についても、フレームとしての更なる拡張ができないかという点について考察し、その応用の可能性を探る研究を進めた。この研究についてはまだ成果は得られていないが、今後対外的な成果発表ができるように研究に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フレームに関する理論研究はやや遅れているが、応用面では今年度の課題であった画像処理における検討において、画像の方位成分を有効活用する方法について新たな着想を得るなど大きな収穫があり、計画以上の進展があった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究では、本年度に発見した画像の方位成分に関する選択手法を電子透かしの埋め込みに応用するなど、引き続きフレームの応用可能性について多角的に検討を進めながら、計算機実験による検証と並行して研究に取り組む。
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Causes of Carryover |
今年度もコロナ禍による外出規制が想定以上に長期化したことで、学会や研究出張に関する旅費が不要になったため次年度使用額が生じた。次年度では研究出張の機会も増える見込みのため、効率的に研究費を使用できるようにしたい。また本年度から代表者の所属機関が変更となったため、新たな研究環境の環境整備などにも充てたい。
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