2021 Fiscal Year Research-status Report
神経ネットワークにおける2種類の抑制性細胞の機能的役割に関する研究
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21K12050
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
加藤 秀行 大分大学, 理工学部, 講師 (00733510)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 抑制性介在細胞 / 神経ネットワーク / 機能的役割 / 情報処理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳における2種類の抑制性介在細胞の存在意義を明らかにするために、これら抑制性介在細胞の神経ネットワーク内における機能的役割を特に情報処理の観点から解明し、神経科学における新たな知見を得ることを目的とする。さらに、本研究を通じて、脳の計算原理に迫 ることも本研究の目的である。これを実現するためには、実際にこれら抑制性介在細胞が神経ネットワーク内でどのような活動をし、他の細胞集団にどのような影響を与えているのかを理解することが必要である。そのため、本研究では計算論神経科学による数理的アプローチ、すなわち、神経ネットワークの数学モデルを構築し、数値シミュレーションから得られたデータを解析することにより上記学術的問いに迫り、得られた知見および理論を電気生理学分野に還元することを目指す。 上記研究目的を達成するために、本年度は、研究実施計画に基づき3細胞集団で構成されるラットの体性感覚野の第4層の神経ネットワークを構築した。具体的には、まず神経細胞、シナプス、神経ネットワーク構造、シナプス短期可塑性の数学モデルを定式化し、これらをまとめ神経ネットワークの定式化を行った。その上で、定式化したモデルをコンピュータ上に再現した。現在はこの数学モデルの数値シミュレーションを行い、そこから得られたデータの基本的な統計解析を行うことで、電気生理学実験により報告されている神経活動の特性を再現するパラメータの探索を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、3細胞集団で構成されるラットの体性感覚野の第4層の神経ネットワークを構築し、構築した数学モデルの数値シミュレーション、および数値シミュレーションにより得られた神経活動のデータ統計解析を行い、電気生理学実験により報告されている神経活動の特性を再現するパラメータの探索に取り掛かることができた。これは申請書の実施計画のとおりであるため、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度はまず引き続き、構築した3細胞集団で構成されるラットの体性感覚野の第4層の神経ネットワークの数値シミュレーションを行い、数値シミュレーションにより得られた神経活動のデータ統計解析を行い、電気生理学実験により報告されている神経活動の特性を再現するパラメータの探索し、パラメータを決定する。その上で、実施計画に従い神経活動の数値解析を行う。また、神経ネットワークの細胞構成を変化させ、同様の解析を行うことで、研究目的を達成する。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により、参加予定であった学会の中止やオンライン開催により支出額が大きく計画と変わったため、次年度使用額が生じた。次年度以降、本年度できなかった研究成果の発表などに使用する。
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