2021 Fiscal Year Research-status Report
Climate (in)justice in cities: impacts of international city networks on urban climate policies in Southeast Asia
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21K12422
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Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
Principal Investigator |
佐々木 晶子 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 研究推進部開発・新領域研究推進課, 研究マネジメント職 (50744041)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 気候変動政策 / 気候正義 / 都市ネットワーク / 自治体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、東南アジアの都市を事例に、国際都市ネットワークの存在が都市の気候変動政策における気候正義への配慮にどのような影響を与えるかを分析し、公正かつ公平な都市気候変動対策のための政策的含意を明らかにすることを目的としている。 2021年度は、はじめに気候正義、特に都市レベルにおける公正な移行について文献調査を行った。次に、国際都市ネットワーク調査の事例選定を行った。そのうえでネットワークに加盟する東南アジアの都市の事例候補を検討し、気候変動政策の策定状況を調べた。その後、選定した4つの都市ネットワーク(C40、ICLEI、UCLG、CITYNET)が気候正義をどのようにとらえているのかを分析するため、既存研究の調査およびMAXQDAを用いた質的データ分析(QDA)を実施した。 QDA実施のため、気候正義に関する分析枠組みの策定を行った。4つの都市ネットワークが過去10年以内に刊行した報告書やブログ、映像などを収集し、正義や公正(justice, equity, fairness, inclusion, equality)を言及した部分について、環境正義の3つの主要要素(distributive, procedural, recognition)と8つの文脈(どのような文脈で使われたのか、空間・ガバナンス・経済・ジェンダーなどに分類)に基づきコーディングを行った。 初期段階の分析結果では、気候正義に関する記述は多くのネットワークで2017年以前は非常に少ないが、2018年以降増加しており、気候正義に対する関心の高まりが見えること、また各ネットワークにて正義に関するタームの使われ方や文脈に差異があることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
文献調査およびQDAの分析枠組みの検討、QDAのコーディングの実施など、おおむね予定通り進めている。また、在スイスの研究協力者と月に1~2回程度定期的に打合せを実施し、分析枠組みや論文執筆に関する議論を行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、QDAおよび文献調査の結果を踏まえて論文を執筆するとともに、都市ネットワークの加盟都市である東南アジアの都市への事例調査を開始する予定である。都市ネットワークの気候正義の捉え方に関する論文についてはQDAのデータの確認作業を行ったうえで執筆し、査読付きジャーナルへ投稿する。 都市ネットワークに加盟する東南アジアの都市については、今年度複数のネットワークに加盟し、かつ独自の気候変動対策計画を策定する都市を選定した(フィリピン・ケソン、マレーシア・クアラルンプール、インドネシア・ジャカルタ)。各都市の気候変動政策についてバックグラウンド調査を行い、そのうちケソンについては自治体の政策担当者および関係者、専門家へのインタビュー調査を実施する予定である。 最終年度は調査内容をまとめ論文を執筆するとともに、オンラインセミナーを実施することを想定している。
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Causes of Carryover |
当初、研究協力者への謝金の支払いを想定していたが、支払わないこととなったため、次年度使用額が生じた。次年度の物品費等に充てる予定である。
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