2023 Fiscal Year Research-status Report
The impact of the US-China Trade conflict and COVID-19 for Production Networks in East Asia
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21K12434
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
宮島 良明 北海学園大学, 経済学部, 教授 (90376632)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末廣 昭 学習院大学, 国際社会科学部, 研究員 (60196681)
伊藤 亜聖 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60636885)
大泉 啓一郎 亜細亜大学, 付置研究所, 教授 (70843689)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 迂回輸出 / 中国依存 / 米中貿易摩擦 |
Outline of Annual Research Achievements |
*2023年度、中国とASEANの貿易について、データ分析に関する研究会を5回、海外現地調査を2回、実施した。 *これらの成果については、アジア政経学会(6月)にて研究報告を行った。これは「中国の対ASEAN貿易の新局面」をテーマに、2015年以降の中国ASEAN貿易の変化について、貿易データの分析結果を中心にまとめたものである。ここでは、①「水平分業」として電子・電気製品の生産ネットワークが拡大していること、②「垂直分業」として中国からの工業製品とASEANからの一次産品の貿易が引き続き増加していること、そして、③これらが中国とASEANの両者の安定的な貿易関係を支えてきたことを確認した。また、④米中貿易摩擦の影響については、とくにベトナムやカンボジアの貿易に「迂回輸出」という形で表れ始めていることがわかった。 *加えて、年度末に米中貿易摩擦について、亜細亜大学アジア研究所のアジア研究シリーズに論文を発表した。このなかでは、2018年に始まった米中による追加関税の応酬は、①必ずしも、アメリカと中国の貿易、とくにアメリカの中国からの輸入を減少させているわけではないこと、②製品によっては、他国からの輸入で代替できない中国依存度が高いものがあること、そして、③中国企業のASEANへの投資が進んでいることなどを議論した。また、④米中貿易摩擦は、基本的には貿易収支のアンバランの問題であり、この原点に立ち戻らないかぎり、根本的な解決は難しいということを指摘した。 *米中貿易摩擦は、現在進行形の問題でもあり、引き続き、貿易データの分析などにより、その動向を詳細に見ていく必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
*コロナの影響もほぼなくなり、定期的に研究会を開催できた。これにより、研究代表者と研究分担者の間で、貿易データの分析手法や研究成果の発表の方法など、スムースに情報共有ができた。 *そして、今年度は主に、米中貿易摩擦について、および中国とASEANの貿易についての研究成果を得ることができた *また、海外現地調査については、研究期間の初年度、コロナの影響もあり当初計画していたとおりには進まない部分もあかったが、今年度は、調査対象を限定し、一定の成果を得た。具体的には、タイにおいて、コロナショックの影響や中国企業の投資動向などについて聞き取り調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
*2024年度は、研究成果の取りまとめに注力する。 *具体的には、中国とASEANの貿易に関する共著書の出版を行う。 *また、2024年度より行われる科学研究費助成事業(基盤(C))「米中貿易摩擦のベトナムおよびタイの貿易に対する影響に関する比較分析」(課題番号: 24K15462)との連携を念頭に、引き続き、貿易データ分析のアップデート、および現地調査による現状把握を行う。
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Causes of Carryover |
*研究期間の初期の時点(2021年度、2022年度)では、コロナの影響が強く残っていたこともあり、当初計画していたとおりに研究会や海外現地調査を実施することができない部分があった。 *2023年度は、これらの部分をカバーするべく研究を進めたが、一部次年度に繰り越すものが生じた。 *具体的には、資料の収集や研究会の開催などである。これらを実施したうえで、次年度は研究成果の取りまとめを行う予定である。
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