2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
21K12596
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Research Institution | University of Nagasaki |
Principal Investigator |
吉村 元秀 長崎県立大学, 情報システム学部, 教授 (60335461)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 知里 神戸大学, 環境保全推進センター, 助教 (60362761)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 大学 / 避難誘導 / 避難継続 / 避難ルート提示 / 避難所運営 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、避難ルート提示システムおよび避難所運営システムを開発した。 1) 避難ルート提示システムの開発:長崎県立大学シーボルト校をテストサイトとして、避難ルート提示システムを開発した。本システムは、Web上にシーボルト校を模した仮想空間を構築し、空間内に配置された360度写真をもとにキャンパス内の避難ルートをシミュレーションするものである。避難ルート提示に利用した360度写真は、2021年度より継続して撮影したデータを活用している。本キャンパスは、事務局や大講義室を配置する本部棟、看護栄養学部関連の講義・研究棟となる東棟、国際社会学部、情報システム学部を中心とした講義・研究棟が職員および学生が活動する主たる施設となる。避難経路として、東棟から体育館、西棟から体育館、本部棟から体育館への3つのルートを設計し、防災教育などの際に事前に避難ルートを学習することを目的に開発した。 2) 避難所運営システムの開発:発災時、避難所の運営を行う上で欠かせないのが、政府から被災地に向けて送られる支援物資である。政府によって定められている支援の一つにプル型支援がある。本システムは、Google Apps Script(GAS)を活用し、プル型支援における物資の要請を含めた避難所の運営を効率化する。このシステムでは、避難してきた世帯代表者に3つの「入場フォーム」「要望フォーム」「退場フォーム」に回答してもらうことで、避難所内の世帯ごとの人数や男女比、要配慮者の数などの避難者情報とプル型支援要請に必要なニーズを「ステータスシート」「避難者情報シート」に集計・表示する。GASのGoogle Apps連携機能と自動化機能を用いることで、避難者情報やニーズをフォームの回答からスプレッドシートに自動で収集するため、これまで紙媒体で行っていた避難者情報の収集やニーズ調査よりも効率よく行うことができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本件、新型コロナの感染拡大による半導体不足の影響から、当初予定していた避難継続のためのエネルギー供給システムとなるソーラー蓄電システムの導入・実験が遅れているが、それらのシステムと連動させる避難所運営システムを前倒しして開発を進めている。 今年度、開発した避難ルート提示システムならびに避難所運営システムを含め、Web上での対ハザード・キャンパスマップのシステム構築は、映像および写真を含めた素材収集に遅れがあるが、基盤システムの構築は予定どおり進捗している。 半導体不足の影響が大きく、ソーラー蓄電システムの導入・実験が大幅に遅れているが、主要な機器がそろい次第、実験を開始する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、①初動時の避難誘導システムと②避難継続のためのweb上での対ハザード・キャンパスマップの構築を計画している。 ①では、長崎県立大学シーボルト校をテストサイトとして開発したベースシステムを神戸大学のキャンパスに拡大・適用する。 ②では、避難継続時に必要とされる電源供給のためのソーラー蓄電設備を構築する。太陽光の照射が十分となる設置場所については、研究分担者とともに現場確認は完了している。蓄電システムの主要機器となるソーラーパネルおよびコントローラー、バッテリー、ロガーなどの機器がそろい次第、神戸大学での実験設備構築およびエネルギー供給実験に着手する。
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Causes of Carryover |
学内における新型コロナの感染対策のための三密回避の影響が大きく、避難ルート提示のための素材収集は、必要最低限、研究代表者のみで行ったため人件費が発生していない。さらには、新型コロナの感染拡大による世界的な半導体不足の影響から、当初予定していた避難継続のためのエネルギー供給システムとなるソーラー蓄電システムを導入することができなかった。そのため機器購入のための金額がそのまま残っている状況である。今年度は、新型コロナの影響が薄れることを想定しており、避難ルート提示のためのさらなる素材収集にかかる人件費、避難誘導システムやソーラー蓄電システムの構築のための機器購入・設置経費、実験データの採取ならびに研究成果報告などを含めた旅費などを使用することになる。
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