2022 Fiscal Year Research-status Report
A novel design methodology for the construction of functionalized human cell monolayer on an egg
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21K12667
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
黄 文敬 九州大学, 工学研究院, 特任助教 (00633413)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
張 宏 東海大学, 工学部, 特定研究員 (80774257) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ニワトリ胚のしょう尿膜 / 細胞の局所的な除去法 / 電気誘起気泡 |
Outline of Annual Research Achievements |
ニワトリ胚の漿尿膜はニワトリ胚にとって必要な物質を外部から取り入れたり,不要な物質を体内から外部に排出したりする役割を担っている.この役割はヒトの上皮細胞とは異なる可能性があるため薬物の拡散の評価に適していないと考えられる.そのため,漿尿上の細胞を一部のみ除去し,そこにヒト由来細胞を播種することでヒトの環境により近い状態で薬物拡散などについて実験できると考えている. 電界誘起気泡を用い上皮細胞を局所的に除去できた.印加電圧を500V,パルス幅を4 マイクロ秒,パルス感覚を0.1ミリ秒,サイクル数を10,デバイスと対象物の距離を200マイクロメートルとした電界誘起気泡を用いることで,直径約350マイクロメートルの範囲でニワトリ胚漿尿膜上の細胞を除去できることを確認できた.生成した気泡の直径は約400 マイクロメーターであり,細胞除去の範囲と一致する.また,気泡の成長,収縮,圧壊による物理的刺激の大きさを評価する実験では,直径が400マイクロメートルの電界誘起気泡では気泡の圧壊時に生じるマイクロジェットよりも気泡の成長時により大きな物理的刺激を与えられることが分かっており,その力は0.4mN程度である.直径400マイクロメートルの範囲でこの力が加わっていることから,3200Paの応力がかかっていることが分かる.これは上皮細胞の除去に必要である800Paより大きな応力がかかっているため,気泡を用いた細胞除去はこの応力に起因すると考えることができる. また、しょう尿膜をカバーするために使用するナノシートの作製工程を確認した.LMH細胞(鶏肝細胞がん細胞)とヒト臍帯静脈内皮細胞を培養した。電界誘起気泡によって引き起こしたせん断力(機械刺激)のレベルを調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はプロジェクト全体を決定付けるような実験を行い、全部成功した. 1.漿尿膜上の細胞を一部のみ除去する手法として電界誘起気泡を用いた物理的手法を提案した。柔らかい薄膜上にある単層の上皮細胞を、膜を破らずに局所的に除去できるこの新規手法の有効性を初めて確認した.気泡処置によって細胞除去できる範囲が直径350 マイクロメーターであるため,気泡処置を200マイクロメートル毎に行うことで目標値である5mm四方の細胞を除去できることが確認できた. 2.しょう尿膜をカバーするために使用するナノシートの作製工程を確認した. 3.LMH細胞(鶏肝細胞がん細胞)とヒト臍帯静脈内皮細胞の培養培養条件を確認した.拒絶反応の有無を確認するために、LMH細胞とヒト臍帯静脈内皮細胞の共培養も行った. 4.電界誘起気泡によって引き起こしたせん断力のレベルを調べた。ヒト臍帯内皮細胞に与える力学刺激を試算した. 5.電界誘起気泡による刺激のレベルとニワトリ胚の生存率の関係を調べた.
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Strategy for Future Research Activity |
今年は下記の実験を行い、プロジェクトの目標が達成できるように研究を推進していく. 1.局所的に上皮細胞を除去できたニワトリ胚のしょう尿膜上でヒト臍帯静脈内皮細胞を培養する。ヒト内皮細胞のモノレイヤの形成条件(培地など)を検討する。細胞除去の確認実験に使用したヘマトキシリン・エオジン(HE)染色などの手法を用い、ヒト内皮細胞のモノレイヤの形成を確認する. 2.しょう尿膜に接着する細胞に及ぼすせん断応力および電界の影響を調べる. 3.免疫蛍光染色などの手法を用い、ヒト臍帯静脈内皮細胞の細胞間結合を調査する.また、ニワトリ胚のしょう尿膜の経上皮電気抵抗(TEER)を測定できるシステムを構築する. 4.ヒト内皮細胞のモノレイヤの透過性実験を試行する.しょう尿膜上での蛍光修飾dextranなどの透過性を評価できる方法を提案する.
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