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2021 Fiscal Year Research-status Report

状態・性質の「する」構文に関する認知言語学的研究

Research Project

Project/Area Number 21K12981
Research InstitutionOsaka Prefecture University

Principal Investigator

大神 雄一郎  大阪府立大学, 高等教育推進機構, 准教授 (80826339)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywords動詞「する」 / 状態・性質 / 「XはYをしている」 / 無生物 / 身体部位名詞 / 複合名詞 / イメージ・メタファー
Outline of Annual Research Achievements

本研究は動詞「する」をテイル形で用いた「XはYをしている」という形式によって対象の状態や性質に関する意味を表す日本語表現を状態・性質の「する」構文と呼び、言語の成り立ちにおける認知的要因の影響に注目する立場から、その形式と意味の関係を支えるメカニズムについて明らかにすることを目指すものである。2021年度には、研究目的および研究実施計画に基づき、問題となる構文の表現の実例データを広く収集することに注力した。特に、Y項に無生物の構成部分を指し示す名詞句を置く表現、また、Y項に複合名詞のみを置く表現に注目し、これらの実例の収集と分析を進めた。上記の2種類の表現は、従来の有力な先行研究においては「適格な表現が成り立たない」とされてきたものであるが、本研究の取り組みにより、これらにも実際の使用例が少なからず認められることが明らかになった。さらに、ここで得られた言語事実に関する見通しに基づき、問題とする表現の成り立ちにイメージ・メタファーなどの認知機能が影響しているという見方から理論的な検討を行った。こうした取り組みをもとに、当該の年度内には、言語や認知に関する国内外の学会および研究会において成果の発表を行った。これらを通じて、本研究が考察対象とする状態・性質の「する」構文の言語的実態について理解が深められたことに加え、その成立機構について一定の見通しが与えられた。これらの成果は、問題となる構文の全容について明らかにするために有益な知見を与えてくれるものであると同時に、広く「する」という動詞の意味機能について知見を深めるために効果的に用いられるものであると考えられる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究課題の進捗に関し、学術論文を通じての研究成果の公表には現時点においていくぶんの遅れが認められるが、研究初年度に予定していた言語データの収集において大きな成果が得られており、また、これに基づく学会および研究会などにおいての成果発表も着実に進んでいることから、総合的に見ておおむね順調に進んでいるものと言える。学術論文の観光に向けては、初年度の実施状況取りまとめの時点において2件の論文投稿に向け執筆を進めており、研究2年目に成果を上げられるよう準備を進めているところである。また、初年度の成果をもとに、研究2年目には複数の国際学会での研究発表に向けても応募準備を進めている。

Strategy for Future Research Activity

初年度の取り組みを受け、直近の課題の1つとして挙げられるのが、研究成果をより広く公開していくことである。これに向けての推進方策として、研究2年目には、初年度に得た豊富な言語データの観察と分析を進め、認知意味論などの分野において提案される理論の発想を援用しつつ考察を推進し、積極的に学術論文の投稿を行っていく。理論的観点から検討を進めていく上では、特に、名詞+名詞型複合名詞(「富士額」や「ビール腹」など)や五感・体感に由来する感覚を表す名詞句(「舌触り」や「歯ごたえ」など)を構成要素に持つタイプの表現に意識を向け、問題となる構文の意味や成り立ちに関わる認知的な要因について探っていく。こうした取り組みを中心に据えつつ、オノマトペ+「する」や「寒気がする」などの表現を含む動詞「する」の多様な用法や、英語のhave構文などを含む異言語においての対応表現にも視野を広げ、包括的な研究を視野に足場を固めていきたい。

Causes of Carryover

コロナウイルス感染症の影響により国際学会の開催に変更等が重なっていることもあり、研究計画全体に適宜見直しを行いながらの活動となっているため、研究初年度の予定については状況を見ながら進めることになった。研究2年目には、研究初年度に予定していたノートパソコンの購入、国際学会への参加などに、初年度の未使用分を充てたいと考えている。

  • Research Products

    (6 results)

All 2022 2021

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 2 results,  Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 状態・性質の「する」構文における修飾要素と身体部位名詞を用いた表現の意味と成り立ち2021

    • Author(s)
      大神雄一郎
    • Journal Title

      認知言語学研究

      Volume: 6 Pages: 86-109

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 表現学関連分野の研究動向 認知言語学2021

    • Author(s)
      大神雄一郎
    • Journal Title

      表現研究

      Volume: 113 Pages: 113

  • [Presentation] The stative/attributive X wa Y o shiteiru pattern with compound nouns2022

    • Author(s)
      Yuichiro Ogami
    • Organizer
      Linguistics and Asian Languages 2022
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 無生物の構成部分について述べる状態・性質の「する」構文の表現2021

    • Author(s)
      大神雄一郎
    • Organizer
      マルチモダリティーと言語
  • [Presentation] 状態・性質の「する」構文に関する研究の現状と展望2021

    • Author(s)
      大神雄一郎
    • Organizer
      現代日本語学研究会2021年9月25日例会
    • Invited
  • [Presentation] The conceptualization of TIME AS A VISITOR in Japanese2021

    • Author(s)
      Yuichiro Ogami
    • Organizer
      The Third Cultural Linguistics International Conference
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2022-12-28  

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