2021 Fiscal Year Research-status Report
前近代東部内モンゴル地域支配秩序の変容:官吏の職能に対する考察を中心に
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21K13120
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
阿路思 大阪大学, 国際公共政策研究科, 招へい研究員 (70897016)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 遊牧地域社会史 / 内モンゴル近現代史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、海外での資料調査は実現できず、日本国内にアクセスできる資料をもとに、以下の実績を挙げた。 1、内モンゴル旗制地域の政治組織構造を考察し、盟旗制度が実施されていた地域における官吏システムの基本をまとめた。具体的に、旗(ホショー)上層の軍事的・行政的中枢である旗衙門および基層社会組織(ソム)における官職の中国語・モンゴル語の名称、官吏システム内部の上下関係を整理した。 2、1940年代の時点で、内モンゴルにおける純遊牧地域を確定し、これらの地域にかかわる資料を可能な範囲で収集した。具体的に、日本軍の対蒙戦略を助力する蒙古善隣協会の調査資料、満洲国期の現地調査資料、日本国内各学術団体の報告資料、民間人および外国宣教師の紀行・自伝的資料などを中心に考察した。 3、研究の初年度にあたることに鑑み、研究資料の収集と構築に力を入れた。日本国内の資料調査を通じ、多くの関連資料を入手した。幅広い資料を用いて、散在する官吏に関する歴史的記述を整合し、内モンゴル遊牧地域における官吏の歴史像を構築した。収集した資料を官吏の職能、職務上の特権、官吏選抜慣例などに分類し、前近代内モンゴルの役人像をより立体的に認識できた。また、「前近代内モンゴル地域の官吏とその職能について」と題した論文を執筆した。この論文は、戦前の純遊牧地域社会に対する調査資料を主に用い、遊牧生活を営む地域における身分制の実態や、官吏の種類・職能、また、末端社会における位置づけを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度はコロナウイルスの影響で、中国内モンゴル地方档案館の資料調査は実現できなかったが、日本国内の資料収集および中国で出版された資料の購入が順調だった。
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Strategy for Future Research Activity |
本課題は数多くの資料を網羅的に考察する必要があり、資料収集を引き続き推進していく。資料の分析と整理の完成度が高く、学会報告と論文執筆を進めていく。
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Causes of Carryover |
今年度は、コロナウイルスの影響で、中国内モンゴル自治区での資料調査が行えなかったため、次年度使用額が生じた。しかし、令和4年度内にて、日本国内における資料収集、学会参加等といった旅費に使用予定です。また、コロナウイルス感染状況が改善次第、中国内モンゴル地方档案館での資料調査に使用予定である。
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