2023 Fiscal Year Research-status Report
ポストコロニアル国制下におけるインドの移動民に関する人類学的研究
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21K13178
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
中野 歩美 中京大学, 現代社会学部, 講師 (90827958)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 移動民 / ノマド / ポストコロニアル / 定住化 / 社会的周縁 / 土地 / 英領インド |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度に関しては、3月にインドでの現地調査を実施した。調査はインド北西部ラージャスターン州のジャイサルメール県にて、現地で伝統的に移動生活を送ってきたジョーギーの人々が移動生活を送っていた際の手仕事の様子や、移動生活の必需品であったいくつかの道具の素材集め、製作方法、使用方法等についての参与観察と聞き取りを実施し、今後の研究につながる貴重な資料やデータを集めることができた。調査の後半はラージャスターン州のビーカーネール県に移動し、インド国立公文書館(National Archives of India)の州支部であるラージャスターン州公文書館(Rajasthan State Archives Bikaner)と、その近くにある関連研究施設のラージャスターン東洋研究所(Rajasthan Oriental Research Institute)にて文献資料調査と博物館展示の見学を実施した。文献資料調査については想定以上に時間を要したため、次年度の調査においても引き続き資料調査を実施する必要があることがわかった。 以上の現地調査と並行して、これまでの関連先行研究の文献の精読を進めたり、昨年度の文献資料収集で集めた資料の整理を進めたが、十分な時間を取ることができなかったため、来年度は資料整理にも力を入れて取り組むこととしたい。 その他の研究実績として、9月に神戸大学で開催された日本南アジア学会と10月にインド・デリー大学で開催されたIUAESにおいて研究報告を実施した。また、本科研の調査で収集されたデータをもとに、ジョーギーの人々の住まいとモビリティに関する論考を執筆し、3月に共著として刊行された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドでの継続的な現地調査が再開でき、昨年度のイギリスに続いてインド国内での資料収集調査にも着手できたこと、その中間報告や成果報告を学会発表として実施できたことから、おおむね当初の計画に沿って研究を遂行できていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、前年度までの計画の進捗状況を踏まえて、以下の3点を主軸として研究を遂行していくこととする。 1)北西インドの移動民の生活実態に関する現地調査:昨年度までの調査を継続する形で、2024年度も現在の生活実態に関する現地調査を実施する予定である。その際には、これまで調査を実施してきたジョーギーの人々以外のコミュニティに関しても調査を実施できるよう現地での人脈づくりに力を入れる。 2)英領期の移動民政策に関する文献資料調査:2023年度にラージャスターン州ビーカーネール県内の2つの公文書関連の研究施設で実施した調査を継続する形で、2024年度にも文献資料収集を実施する計画である。 3)関連文献の精読、収集した文献資料の整理:前年度までの調査で本研究課題に関する文献資料は集まりつつあるが、それを精査する時間が十分に取れていなかった。それを踏まえて4年目にあたる2024年度には、これまでの調査で収集した文献資料の整理と分析に専念する時間を取り、そこで明らかになった知見を現地調査で集めたデータと突き合わせて論文の作成に取り組む。
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Causes of Carryover |
理由1)3月のインド調査で使用した国内航空券代金をクレジットカード決済で購入していたが、クレジットカード明細の提出が年度内に間に合わず私費での支出とした。 理由2)3月のインド調査で購入した文献の領収書を紛失し、私費での購入とした。 2023年度に発生した次年度使用額については、2024年度に計画していたインドでの現地調査のための旅費として充当する予定である。
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