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2021 Fiscal Year Research-status Report

限界集落の福祉政策に関する基盤的研究

Research Project

Project/Area Number 21K13419
Research InstitutionNagano University

Principal Investigator

矢野 亮  長野大学, 社会福祉学部, 准教授 (00755324)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2024-03-31
Keywords社会福祉政策 / 公共政策 / 福祉社会学 / 歴史社会学 / 地域社会学
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は,公共政策(史)において「地域再生」に「地域福祉問題」が含まれてこなかった歴史的経緯を踏まえ,限界集落論のなかにすでに内在されていた福祉政策的視角,すなわち「現代的貧困の蓄積地域」としての限界集落における生活保障の重要性を,ポストコロナ渦で予測される貧困問題も射程に含みつつ再提起し,限界集落における社会福祉政策の実効性を具体的に明示することである.
2020年度まで実施してきた予備的研究では,長野県内の市町村が消滅するなかで,もっともその可能性が高いグループにあった村が消滅しなかったことを,国勢調査のデータベース等をもちいて明らかにしてきた.こうした結果を踏まえ,1年度目である2021年度には,人口が増加した限界集落を中心としたフィールドワークを実施し,予備的調査結果の妥当性について,村民と福祉行政における主要人物へのインタビューを通じて確認してきた.村の役場と社会福祉協議会の協力のもと,村づくりと福祉行政の関係者への聞き取り調査をおこなった.同時に,聞き取りで得られた,ローカルな人びとの諸実践と福祉政策に関する情報を正確に把握するために資料調査を実施してきた.長野県内の福祉行政史を歴史社会学的に考究し,その一部を論文として執筆した(「長野県における〈社会的なもの〉としての社会課設置をめぐって」『中央大学社会科学研究所年報(26)』(掲載決定)2022,pp.未定.)
加えて,2022年度の福祉調査に向けた準備作業として,予備的研究で得られた知見をふまえ,2007年調査から総体的に村民の生活がどのように変わったのかについて,住民意識も含めて明らかとなるよう,調査設計をおこない,村長と村役場の協力のもと,ケーブルテレビをつうじて村民への趣旨説明とプレ調査への協力依頼をおこなった.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

新型コロナ感染拡大の影響にともない,調査対象エリアへの移動と集落でのフィールドワークに制限がかかり,村民と行政関係者への聞き取り調査等,当初予定していた実地調査をおこなうことができない時期が続いた.結果,10月,11月,2月の各月1回の訪問に限定され,予備的調査結果の妥当性の確認,具体的には,聞き取り調査で得られたトランスクリプトの情報内容の確認作業に遅れが出ている.また,2022年度に予定している悉皆調査のうち,最低生計費試算調査については,家庭訪問ができない状況が続いているため,調査対象エリアを変更するなどの工夫が求められている.

Strategy for Future Research Activity

2年度目に予定している悉皆調査のうち,マーケット・バスケット方式をもちいた最低生計費試算調査については,当初実施を予定していた村落ではなく,同様の人口減少率が認められる県内の村落へと調査対象エリアを変更し,パイロット的に実施していくことも視野にいれ,調査実施計画を検討していく.今年度後半には,調査を実施し,入力と解析作業をおこなう.所属機関の大学院研究科における定例研究会をつうじて,多角的な観点から詳細な分析をおこなう.
2023年度には,予定どおり,小規模集落に対する公共政策(史)を歴史社会学的に明らかにし,成果物として発表していく.1920年から2020年現在までの生存保障システムの変遷をふまえ,人口減少に歯止めをかけている何がしかの有効性について考察する.その結果を調査報告書や論文としてまとめる.
一連の研究をつうじて,セーフティネットの変奏と消滅プロセスを踏まえ,持続可能シナリオに向けたローカルな生存保障システムを解明し,所属学会等で発表していく予定である.

Causes of Carryover

新型コロナ感染拡大の影響により,当初予定していたフィールドワークと訪問調査等が実施できない時期が続いた.これにより,訪問回数と諸会議の回数が少なくなり,調査準備が予定よりも遅れている.結果,支出項目のうち「旅費」と調査票の作成作業にかかる「物品費」と「人件・謝金」に使用残額(348,013円)が生じた.
2022年度は,当初予定していた「旅費」(200,000円)と「人件費・謝金」(400,000円)に対して,「旅費」(400,000円),「人件費・謝金」(500,000円)とし,残額(48,013円)を「物品費」へ計上し,「物品費」(548,013円)とする.
以上の使用計画のもと,当初予定どおりに各種調査と研究を遂行し,分析と報告をおこなう.

  • Research Products

    (2 results)

All 2022 Other

All Journal Article (1 results) (of which Open Access: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] 長野県における〈社会的なもの〉としての社会課設置をめぐって2022

    • Author(s)
      矢野亮
    • Journal Title

      『中央大学社会科学研究所年報』

      Volume: 26 Pages: 61-80

    • Open Access
  • [Remarks] 教育・研究

    • URL

      https://www.nagano.ac.jp/education_research/F_/F_2021katudou/yano/

URL: 

Published: 2022-12-28  

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