2022 Fiscal Year Research-status Report
極低出生体重児の前言語期コミュニケーション研究 ー養育者への支援を見据えてー
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21K13560
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宮津 寿美香 長崎大学, 教育学部, 助教 (10780786)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 極低出生体重児 / 母子相互作用 / 家庭場面 / 前言語期のコミュニケーション / 指さし行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
極低出生体重児(一部、超低出生体重児を含む)の前言語期におけるコミュニケーションの特性を明らかにするために、4組の極低出生体重児の乳児と母親(途中から1組追加となり5組となった)に協力いただき、月に1回程度家庭訪問を行い、母子の相互作用の観察と母親への育児についてのインタビューやアンケートを行った。 年度の始めから、12月頃まではコロナウィルスの影響や子どもの疾病等が重なり、予定していた家庭訪問がキャンセルになる等、月1回の継続した観察が出来ないこともあった。 しかしながら、5組中2組の母子は、比較的継続的に観察を行うことが可能であり、本来計画していた0歳~3歳までのデータを揃えることができた。 満期産児のコミュニケーションとの相違を明らかにするため、2021年度に筆者がまとめた満期産児についての論文(「前言語期における2組の母子の手に関するコミュニケーション行動-母親の指さし行動と子どものハンドテイキング行動に注目して-/乳幼児教育学研究(30)41-52 2022年3月)で使用したコミュニケーションの指標を元に、分析を行った。 その結果、特に子ども達が行う「指さし行動」の質において、満期産児との違いがみられた。また、残る3組の極低出生体重児(一部、超低出生体重児を含む)の1歳代から2歳までのデータから、発達初期の社会性の発達において特徴がみられ、現在、それらの分析結果を、論文としてまとめている最中である。また、母親へのインタビューを通して、母親自身が感じる子育てへの思い(苦悩や喜び等)についても明らかとなり、母親の「子どもに対しての捉え方」に、満期産児との違いを読み取ることができた。その点に関しても並行して別の論文としてまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
年度始めから12月頃までは、コロナウィルスの影響があり計画通りに観察が進まなかったことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究協力者5組のうち、3歳まで比較的継続的にデータがとれている2組の母子に焦点をあて、先ずは論文としてまとめる予定である。また、本研究は3歳以降の発達も視野に入れているため、引き続き5組の母子への観察は続けていき、子ども達の発達的変化や母親の心理的変化について追っていく予定である。また、母親へのインタビューの内容についても論文としてまとめていく。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で予定していた観察回数を全うできなかったことと、県外での研究会や研究打ち合わせが全てオンライン開催に変更となり、旅費や謝金を支出する必要がなくなったため。 令和5年度は、コロナが第5類に移行したことにより、研究協力者と協議の上、観察回数を増やすことが可能となり(1か月に1回から2回へと)、謝金の支出が増える。また、令和4年度までオンライン開催であった打ち合わせや研究会が、対面で実施されることになり、旅費の支出も増えることが考えられる。現在まとめている論文も今秋には投稿予定であり、論文掲載料等にも支出予定である。
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