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2021 Fiscal Year Research-status Report

蛇紋岩に関連する炭化水素の成因解明:岩石内分布を考慮した化学形態別の炭素分析

Research Project

Project/Area Number 21K14034
Research InstitutionNational Institute of Advanced Industrial Science and Technology

Principal Investigator

須田 好  国立研究開発法人産業技術総合研究所, 地質調査総合センター, 研究員 (00792756)

Project Period (FY) 2021-04-01 – 2025-03-31
Keywordsカンラン岩 / 蛇紋岩 / 炭素 / 炭化水素 / 非生物起源
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的の一つは、カンラン岩中の炭素の分布に着目し、初生的な炭素と二次的な炭素を区別した上で、それぞれについて化学形態別の炭素量および炭素同位体比を明らかにすることである。初生的な炭素と二次的な炭素では岩石内の分布は異なるはずであり、前者は鉱物結晶内、後者は粒界に分布することが予想される。本研究では鉱物内および粒界に分布する炭素化合物の違いを評価するために、全岩および主要鉱物ごとの分析をそれぞれ実施する。初年度は研究に必要な設備・器具類を準備し、サンカルロス産のカンラン岩試料について前処理を開始した。岩石試料は全岩分析用のチップ(約10グラム)を取り分けた後、SelFrag高電圧パルス選択性粉砕装置を用いて粉砕した。この装置は鉱物の粒界で選択的に粉砕することができるため、目的の鉱物を過粉砕することなく分離することが可能である。それからハンドピックにて主要構成鉱物であるカンラン石、斜方輝石、単斜輝石をそれぞれ数~十数グラム程度収集した。次に鉱物表面の炭素成分を除去するために、Milli-Q水、有機溶媒(メタノール:ジクロロメタン = 1:1)の順に洗浄した。試料の粉末化には試行錯誤の末、旋回運動を利用した粉砕機(振動式カップミルMC-4A)を用いることにした。通常の遊星回転を利用した粉砕機では、粒径の異なる鉱物試料を粉砕すると、先に粉末化した試料が粒径の大きな試料の粉末化を阻害するという問題があった。しかし振動式カップミルでは粒径の大きなものから粉砕されるため、均質かつ短時間で粉末化することができると分かった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

当初の計画では分析前処理の全ての工程(鉱物分離、鉱物表面洗浄、試料の粉末化、粉末試料の溶媒抽出)を完了するところまで進める予定であったが、全体の3分の2程度までしか至らなかった。主な理由の一つ目は、本年度はまん延防止等重点措置の発令により長期間に渡る出勤制限があり、実験室での作業が先延ばしになったためである。二つ目の理由は、実際に前処理作業を進めていく中で、試料の粉末化の工程で振動式カップミル用の粉砕容器の材質について見直しを図る必要があると判明したからである。当初、岩石・鉱物試料の粉末化のためにメノウ製の粉砕容器一式を準備していた。しかしながら、輝石類や石英についてはメノウ製の粉砕容器を用いて30分未満で粉末化することができたものの、カンラン石については数時間装置を稼働させても粒径がほとんど変化しなかった。考えられる原因として、粉砕容器およびボールの比重(つまりメノウの比重:約2.8)がカンラン石試料(比重3.2~4.4)よりも小さいことがあった。そこで販売元よりジルコニア製(比重6.0)のデモ容器を借りて試した結果、約7グラムのカンラン石試料を15分程度で粉末化できることが分かり、問題は解決された。ただし、ジルコニア製の粉砕容器一式を取り揃えられるだけの予算は初年度に計上していなかったので、粉末化以降の作業は次年度に持ち越すこととした。
以上のことより、現在までの進捗状況を「やや遅れている」と評価した。

Strategy for Future Research Activity

まずは「現在までの進捗状況」に記載したとおりジルコニア製粉砕容器一式を揃え、サンカルロス産のカンラン岩試料について粉末化以降の分析前処理作業を行う。それから、炭素成分分析に際して次の分析機器の準備・立上げを行う;1)元素分析/同位体比質量分析計(EA/IRMS)(全炭素量および炭素安定同位体比)、2)ガスクロマトグラフ/燃焼/同位体比質量分析計(GC/C/IRMS)(炭酸塩含有量および炭素安定同位体比)、3)ガスクロマトグラフ/質量分析計(GC/MS)(有機炭素成分の同定)。4)ガスクロマトグラフ/水素炎イオン化検出器(GC/FID)(有機炭素成分の定量)。実際に試料を測定しながら適宜、測定条件の最適化や標準試料の作成を進めていく計画である。サンカルロス産カンラン岩試料について、全岩、主要鉱物(カンラン石、斜方輝石、単斜輝石)、ゼノリスの火山岩部分の計5種類の粉末試料の炭素成分分析結果が得られるはずなので、それらの比較と考察を行う。
次年度で分析前処理から機器分析までの一連の工程が確立する予定なので、以降は同様の手順でテクトニックセッティングの異なる複数のカンラン岩試料について順次分析を進めていく。得られたデータをもとに、それぞれの岩石試料の炭素に関する地球化学的な共通性と多様性を明確にし、岩石学的な見地も取り入れて多角的な考察を行う。
また、カンラン岩の流体包有物中にはしばしばメタンが観測されるので、本研究で対象とする試料についてもその評価を行う。まずは流体包有物の有無を確認するために、岩石薄片の観察を行う予定である。

Causes of Carryover

年度末に購入した物品が見積書の金額よりも予想以上に安く購入できたため生じた。消耗品の購入に充てる予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2022 2021

All Journal Article (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] The origin of methane in serpentinite-hosted hyperalkaline hot spring at Hakuba Happo, Japan: Radiocarbon, methane isotopologue and noble gas isotope approaches2022

    • Author(s)
      Suda Konomi、Aze Takahiro、Miyairi Yosuke、Yokoyama Yusuke、Matsui Yohei、Ueda Hisahiro、Saito Takuya、Sato Tomohiko、Sawaki Yusuke、Nakai Ryosuke、Tamaki Hideyuki、Takahashi Hiroshi A.、Morikawa Noritoshi、Ono Shuhei
    • Journal Title

      Earth and Planetary Science Letters

      Volume: 585 Pages: 117510~117510

    • DOI

      10.1016/j.epsl.2022.117510

    • Peer Reviewed / Int'l Joint Research
  • [Presentation] GC-MSによる水溶液試料中の13C安定同位体ラベル化有機酸の分析法2021

    • Author(s)
      須田好
    • Organizer
      日本地球惑星科学連合2021年大会
  • [Presentation] 白馬八方蛇紋岩温泉の深部起源メタン2021

    • Author(s)
      須田好、阿瀬貴博、宮入陽介、横山祐典、松井洋平、上田修裕、齋藤拓也、佐藤友彦、澤木佑介、中井亮佑、玉木秀幸、高橋浩、森川徳敏、Shuhei Ono
    • Organizer
      日本地球化学会

URL: 

Published: 2022-12-28  

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