2021 Fiscal Year Research-status Report
特殊装置を使用しない不斉金属触媒的固体-固体反応における反応進行要因の解明と応用
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21K14618
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
浅井 彰太 岩手大学, 理工学部, 助教 (40862165)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 固体-固体反応 / 無溶媒反応 / 高活性錯体触媒 / グリーン有機合成プロセス |
Outline of Annual Research Achievements |
有機化学反応に使用される有機溶媒は、揮発性、可燃性、毒性、発がん性や使用後の廃棄など様々な問題を抱えており、有機溶媒を使用しない反応は環境や安全性の観点から重要である。これまでに我々はロジウムと電子不足配位子からなる高活性錯体触媒を使用することで、無溶媒下、通常攪拌で進行する林-宮浦不斉1,4付加反応[固体(液体)-固体反応]を達成したが、反応が進行する要因の解明ができていない。本研究では固体-固体反応における不斉金属触媒的有機化学反応の進行の要因を解明し、医薬品や機能性材料の合成に汎用されるパラジウム触媒反応にその知見を応用し、通常攪拌での固体-固体反応の適用範囲の拡張を目的としている。 当該年度は、不斉金属触媒を使用した固体-固体の反応が進行する要因の解明を中心に取り組む計画であった。反応の基質となるα,β-不飽和カルボニル化合物の性質に着目し、置換基を変更した化合物を検討したところ結晶性が高い化合物において反応性の低下が認められた。そこで少量の溶媒を添加した条件で反応を行ったところ効率良く反応が進行したことから、反応性には基質や触媒、配位子の固体から液体への変化のしやすさが重要であることがわかった。活性の高い触媒というキーワードも計画の段階で重要であったため、活性の高い金属錯体触媒の開発を行った。配位子を設計・合成し、有機溶媒中での第2級スルホンアミドおよびアミドのN-アリール化反応を検討したところ既報より高い活性を示した。有機溶媒中での反応の確立と固体-固体反応への応用に取り組んでいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
機器分析ではなく実験により、通常攪拌での固体-固体反応が進行する要因を解明するために重要な知見を得ることができた。また、第2級スルホンアミドおよびアミドのN-アリール化反応において既報よりも高い活性を示す触媒を見出した。活性の高い触媒を設計・合成できたことから今後の検討により通常攪拌での固体-固体反応が進行する要因の解明のための知見が得られると判断したため、おおむね順調に進展しているとした。
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Strategy for Future Research Activity |
反応基質や触媒の物理化学的性質に着目し解析を進めるとともに、高活性な触媒の開発研究を行い、まず有機溶媒中での反応を確立する。さらに、新たに開発した高活性な触媒を固体-固体反応に応用し、反応が進行する要因の解明に努める。
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Causes of Carryover |
機器分析ではなく、実験を中心にした検討を行ったため、当初の計画の機器分析費よりも支出が少なくなった。次年度に実験および機器分析費用として計上する予定である。
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